局所的な感染症が自己免疫疾患の原因?

(2013年12月) "Immunity" 誌に掲載されたオーストラリアの研究により、感染症によって自己抗体反応が引き起こされる場合のあることが明らかになりました。

リウマチ熱やギラン・バレー症候群(体が作り出す抗体が心臓と末梢神経を攻撃する)などの自己免疫疾患が免疫系が特定の感染性微生物に反応した後に生じることは以前から知られていましたが、その原因は不明でした。

人体の免疫細胞(抗体を産生するB細胞など)は、自分の体を識別させるためのプロセスを経て作られるので、自分の体を攻撃することはありません。

そして、人体が病気や感染にさらされたときに、B細胞は混沌とした発達の仕方をします。 B細胞には、様々な微生物に対応するために、生産する抗体の遺伝子を変異させる能力が備わっています。 抗体の遺伝子をランダムに変化させてゆき、侵入者を撃退するのに最適な変異が見つかった時点で、そのタイプの抗体ばかりを生産するようになります。

この「高適合抗体」の産生は、胚中心と呼ばれるリンパ系の特殊な環境内では、実に素早く行われます。 胚中心は通常は、病気を撃退し、将来の侵入に備えるなど人体の役に立ってくれますが、胚中心の内部でのB細胞の変異は、①素早さが要求される火急の状況下で、②(最適な変異を求めて)ランダムに行われるため、抗原(侵入者)と戦うために作られたはずの抗体が、人体を攻撃するのに最適な形に変異する(*)ことがあるのです。
(*) 「人体を攻撃するのに最適な形に変異する」 - match 'self'
研究の内容

今回の研究ではマウスを用いた実験により、このような現象が起こる状況と仕組みを調べました。

その結果、抗原の量が十分で体全体に行き渡る場合には(自己免疫疾患の原因となる)自己抗体を産生する B細胞が除去されて自己免疫は回避されるけれども、抗原の存在するのが胚中心から離れた組織や臓器のみである場合には、抗原と人体の両方をターゲットとするB細胞が胚中心の監視の目を逃れ、自己抗体を産生することが明らかになりました。

今回の研究により、感染の後に心臓や神経系など特定の臓器に自己免疫症状が生じる仕組みについて多くのことが解明されました。