抗鬱剤パキシルが乳ガンを促進する恐れ

(2014年2月) "Toxicological Sciences" 誌に掲載された City of Hope(米国のガン研究センター)の研究によると、パロキセチン(商品名: パキシル)という抗鬱剤が乳ガンの発生および成長を促進する恐れがあります。
乳ガンと鬱
(米国では)乳ガン患者の1/4に鬱症状が見られます。 鬱症状の治療には SSRI系の抗鬱剤が使われることが多いのですが、パキシルも SSRI系抗鬱剤の1つです。
研究の概要

この研究では446種類の薬を検査して、それぞれの薬に性ホルモンのバランスを撹乱(かくらん)する作用がどれくらい備わっているのかを調べました。

その結果、パキシルにエストロゲン(女性ホルモン)を撹乱する微弱な作用が認められました。 乳ガンの70%においては、エストロゲンが乳ガンを促進する原因となり得ます。

2010年の研究

パキシルは、2010年に発表されたカナダの研究でも、乳ガンによる死亡率への関与が疑われています。 再発予防のために抗ガン剤(タモキシフェン)を服用しつつ抗鬱剤も飲んでいる乳ガン患者において、 パキシルを服用していたグループでは、他の種類の抗鬱剤を服用していたグループよりも乳ガンによる死亡率が高かったのです。

この2010年の結果はパロキセチンがタモキシフェンの代謝に必要な酵素(肝臓で生産される)の生産を阻害するためではないかと考えられていましたが、今回発見されたパロキセチンのエストロゲン撹乱作用も 2010年の研究においてタモキシフェンの効果が損なわれる要因となっていた可能性があります。