PCOS患者が糖尿病になりやすい理由は炎症?

(2015年6月) 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性の半分近くが40才までに2型糖尿病や糖尿病前症になりますが、"American Journal of Physiology?Endocrinology and Metabolism" に掲載された研究によるとその理由が炎症にある可能性が強まりました。 出典: Polycystic Ovary Syndrome and Diabetes: Researchers Find Out Why the Two Are Linked

食後のインスリン放出

食事により急増した血中のブドウ糖はインスリンにより細胞に吸収されます。 そのインスリンは膵臓に存在するβ細胞により作られますが、その放出には2つのフェーズがあります。 1つは食事の直後にβ細胞に既に蓄えられているインスリンが放出されるというもので、もう1つはそれよりも遅れて、新たに合成されたインスリンが放出されるというものです。 インスリンを分泌する能力が衰えると高血糖になります。

これまでの研究

PCOSの患者では健常な女性と異なり、食後の血糖増加により免疫細胞が刺激されて炎症反応が活性化します。 そして、この炎症プロセスによりインスリンの作用が阻害されてインスリン抵抗性が生じ2型糖尿病を発症しますが、いくつかの研究によりこの炎症がインスリンの分泌にも悪影響を及ぼす可能性が示唆されています。 PCOS患者ではβ細胞の働きが衰えていることを報告する研究も複数が存在します。

今回の研究

今回の研究では、炎症がβ細胞の不具合の原因であるのかどうかを確認することを目的として、血糖値は正常なPCOS患者を対象に、ブドウ糖に刺激されて放出されるインスリンと炎症性タンパク質を測定しました。

結果
主な結果は次のようなものです:
  • PCOS患者のうち肥満している人に限って、(インスリン放出の)2つのフェーズの両方においてPCOSではない女性よりもβ細胞の機能障害が甚大だった。
  • PCOS患者は肥満か普通体重かにかかわらず、炎症反応の活性がPCOSではない女性よりも大きくなっていた。
  • 炎症経路が活性化している人ほどβ細胞の機能障害がひどかった。