人類の遺伝子にはコーヒーを飲みたいという本能的な要求が埋め込まれている?

(2016年8月) "Scientific Reports" に掲載されたエジンバラ大学などの研究により、コーヒーを飲みたいという欲望を抑える遺伝子が特定されました。 PDSS2と呼ばれる遺伝子がそれで、この遺伝子が変異体である人はあまりコーヒーを飲みません。

研究チームによるとその理由は、PDSS2遺伝子が変異体であると細胞がカフェインを分解する能力が低くてカフェインが体内に長時間とどまるために、コーヒー飲用量が少なくて済むからです。

研究の概要
イタリアでの調査

イタリアの小さな村々に住む男女 1,200人ほどの遺伝子情報とコーヒー飲用量を調べたところ、PDSS2という遺伝子が変異体である人は、PDSS2が一般的なタイプのものである人に比べてコーヒーを飲む量が1.2杯/日ほど少ない傾向にありました。

オランダでの調査

オランダに住む男女 1,700人ほどを対象に同じ調査を繰り返したところ同じような結果となりましたが、PDSS2変異体がコーヒー飲用量に及ぼす影響は少し小さくなっていました。

解説

研究チームによると、イタリアとオランダとでPDSS2変異体の影響度に差が見られたのは、オランダとイタリアとでコーヒー飲用量が異なり、それゆえにカフェイン摂取量にも差があるためかもしれません。(*)

イタリア人が小さいカップでモカやエスプレッソ(カフェイン含有量が少ない)を飲むのに対して、オランダ人は大きいカップでカフェイン含有量が普通のコーヒーを飲むため、オランダ人がコーヒー1杯を飲んで摂取するカフェインの量はイタリア人の3倍ほど(†)にも及びます。
(*) PDSS2のタイプの違いがコーヒー飲用量に及ぼす影響が、仮にイタリアとオランダで同じように1杯であるとすれば、イタリアの場合にはPDSS2の影響の程度がカフェイン60mg程度でしかないのに、オランダではPDSS2の影響の程度が170mgほどにもなってしまうから、「1杯」を単位としてPDSS2のタイプの違いをイタリアとオランダとで比べるならば、オランダのほうで影響の程度が1杯未満となるのも頷けるということでしょう。
(†) オランダ人のカフェイン摂取量が173mg/杯なのに対して、イタリア人はエスプレッソであれば67mg/杯、モカであれば61mg/杯。
コメント
研究者は次のように述べています:
「今回の結果は 『人類にはコーヒーを飲みたいという本能的な要求が遺伝子に埋め込まれている』という説を補強するものですが、もっと大規模な研究を繰り返して今回の結果を確認する必要があります。 PDSS2とコーヒー飲用のあいだの生物学的な関係についても調べる必要があります」