ピーナッツバターを使った簡易なアルツハイマー病診断テスト

(2013年10月) アルツハイマー病などの認知症の兆候の1つに嗅覚の喪失があるのではないかと考えられていますが、"Journal of the Neurological Sciences" に掲載された研究によると、ピーナッツバターと定規でアルツハイマー病の早期診断をすることができます。 手順は次の通りです:

やり方
  1. ピーナッツバターと定規を用意する。
  2. 被験者を座らせ、目と口を閉じてもらう。
  3. 被験者の鼻の穴も片方だけふさぐ。
  4. ピーナッツバターの容器の蓋を外す。
  5. 開いている方の鼻の穴から試験者の方に向けて定規を縦にあてがう。
  6. 被験者には普通に(鼻の穴1つだけで)呼吸してもらい、定規に沿ってピーナッツバターを被験者の鼻に向かって1cmずつ近づけていく。 ただし、ピーナッツバターを鼻に近づけるのは、被験者が鼻から息を出している隙を狙って行うこと。
  7. 「臭いを感じたら合図するように」と被験者に指示しておく。
  8. 被験者がピーナッツバターの臭いを感知したら合図をしてもらい、合図があったときのピーナッツバターから鼻までの距離を記録する。
  9. 90秒間の間を空けた後、もう一方の鼻の穴でも上記1~8を行い、両穴の結果を比較する。
研究の結果

研究グループが24人の患者に対して上記と同様の実験を行ったところ、アルツハイマー病の患者では左の穴の嗅覚が損なわれており、左の鼻の穴では、右の穴より平均で10cmもピーナッツバターを近づけないと臭いを感知できませんでした。

24人のうち左の鼻の穴の嗅覚が劣っていたのは10人ほどででした。 しかし、この10人全員がアルツハイマー病であったのかどうか(つまりピーナッツバターによる判定法が100%正確であるのか否か)についてはプレスリリースに記載がありません。

解説

匂いを感じる能力には第1脳神経が関与していますが、第1脳神経は認知機能の衰えの影響が最初に現れる部分の1つです。 アルツハイマー病診断の道具としてピーナッツバターが選ばれたのは、これが嗅覚のみで感知される「純粋な臭い物質」であるうえに入手が容易だからです。

この左の鼻の穴の嗅覚が衰えるというのはアルツハイマー病の患者に特有のもので、他の認知症の患者では、このような左右の嗅覚差はなかったり右の鼻の穴の方が嗅覚が衰えたりしていました。

今回の結果から研究グループは、軽度認知障害(MCI)の患者のうちアルツハイマー病を発症する人を見分けるのに、ピーナッツバターを用いたテストが使えないかと考えています。

似非(エセ)ピーナッツバターに要注意

市販のピーナッツバターには、ピーナッツよりもマーガリンの含有量のほうが多い粗悪品(というよりエセ・ピーナッツバター)が存在します。

ピーナッツバターは本来ピーナッツだけで粘り気を出すものですから、マーガリンなどが大量に使われるということは考えられません。

申し訳程度にしかピーナッツが使われていないようなエセ・ピーナッツバターでは、ピーナッツの香り成分が不十分でアルツハイマー病判定には使えないのではないかと思います。