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リンゴの食物繊維が腸をケアしてダイエット効果を発揮

(2016年3月) "Nutrients" 誌に掲載された南京大学(中国)などの研究(ネズミの実験)で、リンゴに含まれるペクチンという発酵性食物繊維により腸内環境が改善され、それが最終的にダイエット効果を発揮するという結果になりました。

研究の方法
ラットを8匹ずつ次の3つのグループに分けて色々調べました:
  1. 普通のエサを食べ続けるグループ
  2. 高脂肪食を8週間食べて太った後、ペクチンを5%含有する高脂肪食を6週間にわたり食べるグループ
  3. 高脂肪食を8週間食べて太った後、それまでと同じ高脂肪食を6週間にわたり食べるグループ
結果
体重とコレステロール
3のグループに比べて2のグループは6週間における体重の増加幅が緩和されており、総コレステロール値も低くなっていました。

普通食 高脂肪食 高脂肪食(ペ)
体重(g) 161 284 207
コレステロール(mmol/L) 1.31 2.06 1.46

腸内細菌
2および3のグループの腸内では8週間の高脂肪食のために、バクテロイデス門の細菌が減少してファーミキューテス門の細菌が増加していましたが、2(高脂肪食+ペクチン)のグループではペクチンの摂取により腸内細菌叢の構成が正常に戻りました。
腸内細菌の構成を変化させてダイエット効果を生み出す食物繊維」によると、肥満者の腸内にはファーミキューテスが多く存在し普通体重の人の腸内にはバクテロイデスが多く存在するという傾向があります。
腸の状態
3のグループよりも2のグループの方が、腸アルカリ性ホスファターゼ(IAP)(*)およびクローディン1(†)というタンパク質の発現量(‡)が正常に近い状態でした。 2のグループではさらに、回腸の組織におけるToll様受容体4(TLR4)(§)の発現量が低下し、炎症と代謝性内毒血症(||) が減っていました。

(*) 腸のバリア機能にとって重要となるタンパク質。 全身性炎症の沈静・LPS(リポ多糖)と呼ばれる細菌由来の毒素の解毒・腸内細菌の調節などの作用を持ちます。

(†) タイト・ジャンクション(密着結合)に関与するタンパク質。 「自己免疫疾患のリスク要因となる7つの食品添加物」によると、タイト・ジャンクションが弱まると細菌・毒素・栄養成分・非栄養成分に対する腸の耐性が低下して自己免疫疾患を発症しやすくなります。

(‡)「遺伝子の発現」とは遺伝子の設計図に基づいて体内で特定のタンパク質が作られることです。

(§) TLR4がLPSを認識したときに開始される炎症プロセスは、肥満や代謝障害(インスリン抵抗性など)を促進します。

(||) 全身性の炎症と血中のLPS(=内毒素=リポ多糖)の増加のこと。

解説
高脂肪のエサは、およそ次のような順序で腸内細菌を介して体重増加につながるのだと考えられます:
  1. 高脂肪のエサにより腸内細菌叢に変化が生じる
  2. IAPの発現量が減りTLR4の発現量が増える
  3. 腸に炎症が生じる
  4. 腸のバリア機能(特にタイト・ジャンクション)に異変が生じる
  5. 腸からLPSが漏れ出して血中のLPS濃度が増加し、全身性の炎症が生じる
  6. 脂肪組織が増えて体重が増加する
それがペクチンによって、①腸内細菌叢が正常になり②IAPとTLR4の発言量が元に戻り③炎症が軽減されるために④体重増加が抑制されるというわけです。
「全身性の炎症 ⇒ 体重が増える」 というステップに関する説明がこの記事の出典となった論文に見当たりませんでしたが、参考文献として挙げられている "Effects of gut microbiota on ..." というアブストラクトに次のような記述がありました:
「近年の研究により、炎症が肥満と代謝疾患(インスリン抵抗性やアテローム性動脈硬化)において大きな役割を果たしていると認識されるようになっている」
他の食物繊維でも
これまでに行われた他の研究では、ペクチンと同じく発酵性食物繊維であるイヌリンや全粒小麦のブラン(ふすま)に含まれるアラビノキシランという食物繊維から腸内細菌が作り出す物質にも、腸内細菌叢を改善して腸のバリア機能を回復し炎症と代謝性内毒血症を減らす効果のあることが示されています。