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運動習慣に9才分の若返り効果!?

(2017年5月) "Preventive Medicine" 誌に掲載されたブリガム・ヤング大学の研究で、運動などの身体活動を十分に行っている人は身体活動の習慣がない人に比べて肉体が9才分ほど若々しいという結果になりました。

研究の方法

米国人男女 5,823人を対象に、血液検査を行ってテロメア(下記参照)の長さを測定し、身体活動量(頻度・激しさ・1回あたりの時間)に関するアンケート調査を行いました。 データの分析においては、テロメアの長さに影響する様々な要因を考慮しました。

結果

今回の研究では、テロメアの長さが1才あたり15.6BP(塩基対)のペースで短くなっていました。
他の研究では、テロメアは1年あたり24.8~27.7BP、32~45BP、20~40BP、55BPといったペースで短くなっていくという結果になっています。
身体活動量が最も多いグループと他のグループとのテロメアの長さの差は次のようなものでした:
  • 身体活動量が中程度のグループ: -111BP
  • 身体活動量が少ないグループ: -137BP
  • 身体活動をまったく行わないグループ: -140BP

したがって、身体活動量が最も多いグループは身体活動をまったく行わないグループに比べて、140÷15.6=9才分ほど肉体が若々しいという計算になります。

同様の計算で、身体活動量が少ないグループとの肉体年齢の差は-8.8才、身体活動量が中程度のグループとの肉体年齢の差は7.1才となります。

テロメアとは

テロメアは、染色体の両端に存在して、染色体同士が癒着したり変質したり(ガンの原因になる)しないように保護している部分のことです。 染色体が靴紐であるとすれば、テロメアは靴紐の先端のキャップに該当します。

テロメアは細胞が分裂するたびに(つまり老化により)短くなってゆき、テロメアが失われた染色体は不安定になります。 通常はテロメアが一定以下の長さになった時点で「細胞老化」により細胞が破壊されますが、このような破壊を免れた細胞はガン化します。

老化の指標

細胞が分裂するたびに短くなっていくというテロメアの性質のために、テロメアは肉体の老化度を知るための指標として用いられます。

テロメアが短くなる要因

喫煙・肥満・劣悪な食事・心理的ストレス・酸化ストレス・慢性炎症によってテロメアが短くなるペースが速まることが複数の研究で示されているほか、ガン・心血管疾患・認知症・肥満・脳卒中・骨粗鬆症・感染症・糖尿病・高血圧などの病気や体質(遺伝子のタイプ)によってもテロメアは短くなります。

テロメアの長さを維持する方法

運動習慣・健康的な食生活・質の良い睡眠・禁煙により、テロメアが短くなるのを食い止めたりテロメアの長さを回復したり出来ると思われます。

運動

運動量が多い人や座って過ごす時間が短い人はテロメアが長いという結果になった研究があります。 また、運動によってイリシンというホルモンの分泌量が増加しますが、このイリシンの血中量が多い人ほどテロメアが長いことを示す研究もあります。

食生活

食生活がメディテラネアン・ダイエットと呼ばれる地中海地方の伝統的な食生活に近いとテロメアが長いという結果になった研究があります。

個別的な食品カテゴリーでは、DHAやEPA(魚に含まれる脂肪酸)や果物・野菜がテロメアの長さを維持するのに有益だと思われます。 逆に、糖類や加工肉(ソーセージやハムなど)などはテロメアの長さを損なう恐れがあります。