身体活動と静脈血栓塞栓症の予後との関係

(2019年4月) "Journal of Thrombosis and Haemostasis" に掲載されたノルウェーの研究で、身体活動と静脈血栓塞栓症(VTE)の予後との関係が調査されています。
著者: Line H. Evensen et al.
タイトル: Physical activity and risk of recurrence and mortality after incident venous thromboembolism

研究の方法

ノルウェーに住むVTE患者786人を対象に、1994~1995年、2001~2002年、および 2007~2008年にかけて調査したのち 2015年末まで死亡やVTEの再発の状況を追跡調査しました。

結果

追跡期間中に139件のVTE再発および395件の死亡(死因は問わない)が発生しました。

身体活動の状況(1週間の身体活動量が1時間未満か1時間以上か)とVTE再発リスクとの間には男女ともに関係が見られませんでした。

その一方で死亡リスクは、1時間以上/週の身体活動を行っていると10年間のうちに死亡するリスクが28%低下していました。

VTEを深部静脈血栓(DVT)と肺塞栓症に分けて分析すると、身体活動と死亡リスクとの関係は深部静脈血栓の患者で明確でした(*)
(*) DVTでは死亡リスクが統計学的に有意に41%低下していた一方で、肺塞栓症では統計学的に有意には死亡リスクが低下していなかった。 ただし、DVTが model 2 の分析結果なのに対して、肺塞栓症は model 3 の分析結果。 model 3 は model 2 よりも多くの要因を考慮した分析でしょう。 そして、DVTでも model 3 では統計学的に有意な結果とならなかったのでしょう。

結論

研究者は次のように結論を述べています:
「VTEと診断される前の身体活動習慣は(VTEの)再発リスクに影響していなかった。 その一方で、特にDVTと診断された後には、身体活動の習慣がある場合に死亡リスクが低かった」