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身体活動で5つの疾患のリスクが下がるが、現在推奨されている以上の身体活動量が望ましい

(2016年8月) "*The BMJ*" に掲載されたワシントン大学などによる研究(メタ分析)で、身体活動(仕事・通勤・家事・運動などで体を動かすこと)の量が多いと乳ガン・大腸ガン・糖尿病・虚血性心疾患・虚血性脳卒中のリスクが低下するという結果になりました。出典: Physical activity and risk of breast cancer, colon cancer, diabetes, ischemic heart disease, and ischemic stroke events: systematic review and dose-response meta-analysis for the Global Burden of Disease Study 2013

メタ分析の方法
身体活動の量と乳ガン・大腸ガン・糖尿病・虚血性心疾患・虚血性脳卒中のうち1つ以上との関係について調べ 1980~2016年までに発表された174の研究のデータを分析しました。 データの量は174の研究の合計で1億5千万人年(*)近くでした。
(*) 人年(person year)=患者数×年数
結果
5つの疾患のいずれに関しても、1週間あたりの身体活動の量が多いとリスクが低くなっていました。 身体活動量が600MET分/週(下記参照)未満の場合に比べたときの各疾患の発症リスクの低下幅は次のようなものでした:

身体活動量 乳ガン 結腸ガン 糖尿病 心疾患 脳卒中
600~4千未満 3% 10% 14% 16% 16%
4千~8千未満 6% 17% 25% 23% 19%
8千以上 14% 21% 28% 25% 26%

高品質な分析
以下は、高品質な研究のデータだけに限定して分析した結果です:

身体活動量 乳ガン 結腸ガン 糖尿病 心疾患 脳卒中
600~4千未満 11% 11% 14% 14%
4千~8千未満 5% 19% 17% 21% 16%
8千以上 12% 20% 20% 22% 20%

リスク低下効率が良い運動時間

リスクの低下が顕著だった身体活動の量は、1週間あたり3千~4千MET分でした。 例えば現行の推奨身体活動量である600MET分/週の場合、身体活動をまったくしない場合に比べて糖尿病になるリスクが2%しか下がっていませんでしたが、身体活動量が3600MET分/週の場合には20%ほど下がっていました。

運動量を極端に増やしても疾患リスクの低下効率は悪く、身体活動量を9千MET分/週(ジョギングを毎日3)から1万2千MET分/週(ジョギングを毎日4時間)に増やしたときの糖尿病のリスク低下幅はわずか0.6%でした。
今回のメタ分析では、激しい運動を短時間やるのと軽い運動を長時間やるのとどちらが良いかは調べていません。
「MET分」とは

「MET」とは「Metabolic Equivalent of Task(身体活動による消費エネルギー)」のことで、「MET分」とは「MET」を分単位に換算(×60)したものです。 100MET分/週という量の身体活動は、例えば毎日5~6分程度ゆっくり歩くだけの運動しかしない場合に相当します。

3千MET分/週という量の身体活動は、毎日60分ほどジョギングをするのに相当します。 4千MET分/週ならジョギングを毎日80分ほど。 今回のメタ分析は運動だけでなく仕事・家事・通勤などに伴って発生する身体活動の話なので、運動習慣として行う必要がある運動はこれよりも少なくなりますが、それでも現行の推奨身体活動量よりは多くの身体活動が必要だということになります。