(2018年7月) ユヴァスキュラ大学(フィンランド)の研究者が身体活動と長生きの関係を調べたこれまでの研究の成果をまとめたレビューを "British Journal of Sports Medicine" に発表しています。
レビューの要点
- これまでの観察研究で身体活動量が多い人は早死のリスクが低いことが示されているものの、観察研究であるために「身体活動量が早死リスク低下の原因である」という因果関係が存在するとは言い切れない部分がある。
- これまでのランダム化比較試験や動物実験の結果を見る限りでは、「成人後に身体活動を始めることで寿命が延びる」と明言するに足る決定的なデータは存在しない。 一生の間ずっと身体活動を続けていれば寿命が延びる可能性はあるが、これに関してもデータが不足している。
- つまるところ、運動が健康に有益であることは明らかであるものの、それが寿命の長さにつながるかどうかは現時点では不明である。
- 激しい身体活動により寿命が縮む恐れもあるが、この点に関しても研究が不足している。
- 身体活動で寿命が延びないにしても、身体活動は心肺能力や身体機能の向上に有効であり健康にも有益である。 それだけでも、運動不足の中高年者に身体活動を推奨する理由として十分だと思う。