SaraSuarez-Manzano et al. "Acute and chronic effect of physical activity on cognition and behaviour in young people with ADHD: A systematic review of intervention studies"
研究の方法
運動などの身体活動がADHDを抱える小さい子供や思春期の子供の認知機能や振る舞いに及ぼす影響を調べた介入研究研究(2000年1月~2017年1月に発表されたもの)の中から所定の基準を満たす16の研究を選出し、それらのデータをまとめて分析しました。
結果
運動直後の効果
全般的に見て、40~75%の強度(40~75%というのはたぶん最大心拍数の40~75%)の身体活動を20~30分間にわたり行うと、処理速度・ワーキングメモリー(*)・計画/問題解決能力が向上するという結果でした。
ただし、相反する結果となった研究も含まれていたうえに、年齢による結果の違いもありました。
(*) 視覚的または言語的な情報を一時的に記憶し、その情報を用いて作業する能力のこと。 例えば、暗算をしたり物語を聞いて理解するのに必要。 ワーキングメモリーは集中力・注意力・判断力・問題解決能力・学習能力にとって重要で、不足すると勉強や仕事に支障が生じる。
運動習慣の効果
身体活動の習慣により、注意力・抑制力・感情のコントロール・振る舞い・運動コントロールが改善するという結果でした。 身体活動習慣の内容は、30分間の身体活動を週に3日(身体活動の強度は40%)というものです。
ただし、交絡要因(*)を考慮した研究が全体の1/4でしかなかった点に注意が必要です。
(*) 分析結果に影響する様々な要因。 一般的には年齢・性別・BMI・生活習慣・生活環境・健康状態など。