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プラシーボとは

プラシーボ(「プラセボ」とも言う)とは、見た目からは本物の薬との区別がつかないけれど薬として有効な成分が入っていない偽の薬のことで「偽薬」とも呼ばれます。 プラシーボの成分は、ブドウ糖やデンプンなど体に特別な作用をもたらさないものです。

プラシーボ効果とは

プラシーボには、プラシーボ(偽薬)効果があると言われています。 プラシーボ効果とは、病気などで苦しむ人が薬や飲食物を何らかの薬効があると信じて服用や飲食すると、科学的には薬効が認められないはずなのに、その薬や飲食物により症状が改善するという効果のことです。

例えば、新興宗教の信者が何かの病気で苦しんでいて、教祖様が清めてくれた万病に効くという噂の聖水(38ml入りの小瓶で50万円。 実はただの水道水)を飲んだら病気が良くなったなどというのがプラシーボ効果です。

医療におけるプラシーボ効果

お医者さんから薬だと言って渡されたモノも信者にとっての聖水に近い効果がある可能性があると考えられます。

なので、開発されたばかりの新薬で、その効果が未だ確認されていないものであっても、医師に薬として処方されれば(特に画期的な新薬だと言われれば)、その薬に対する期待感のあまりに、その薬に効果が無くても効いてしまうかもしれません。 あるいは、実際の効果以上の効果が出てしまう可能性があります。

医学的な試験にプラシーボを使う理由

患者にとっては偽薬であろうがなんであろうが治った者勝ちですが、新薬の性能を測るという試験の目的からすると、こういうことがあっては都合が良くありません。

そこで、新薬などの効果を試験するときには、新薬を処方されるグループの他にプラシーボを処方されるグループを設けて、両者の効果を比較します。

つまり、新薬の効果を比較する対照用のグループとして、何も処方されないグループではなくプラシーボを処方されるグループを用いるというわけです。

このようにすることで、新薬の効果のうちに仮にプラシーボ効果による部分があっても、比較対照用のグループでも同じだけのプラシーボ効果が生じているため、新薬を処方されたグループに認められた効果のうちプラシーボによる部分を相殺できるというわけです。

例えば、新薬を与えられたグループにおいて100の効果が認められ、そのうち30がプラシーボによる効果だとします。 そして、比較対照用のグループにプラシーボを与えた場合には、比較対照用のグループでも、プラシーボに由来する30の効果は生じるはずです。

そのため、100から30を引いた残りの70が厳密に薬効による効果であると考えられるわけです。

比較対照用のグループとして、何も与えられていないグループを用いた場合には、比較対照用グループで発生する効果は0なので、新薬の効果のうちプラシーボ効果が占める割合は判断できません。

プラシーボ効果の出やすい人と出にくい人がいる

遺伝子の違いによって、プラシーボ効果が出やすい人と出にくい人のいることが知られています。 このような遺伝子のプラシーボ効果のことを「プラセボム(placebo + genome = placebome)」と呼びます。

プラシーボの効き方に個人差があることから、プラシーボを用いて試験を行っても正確な結果を得られない可能性があります。

薬の形態によってもプラシーボ効果に差がある

"Annals of Internal Medicine"(2015年7月)に掲載されたメタ分析では、同じプラシーボでも内服薬に比べて塗り薬や注射の方が膝関節炎の痛みを軽減する効果が大きいという結果になっています。

このメタ分析は複数のランダム化比較試験のデータを分析したもので、データに含まれる被験者の総数は149人でした。

プラシーボとわかっていても効果がある

患者がプラシーボと知りつつプラシーボを飲んでも効果があることも知られています。 このようにプラシーボであることを明らかにしたうえで投与するプラシーボは「オープンラベル・プラシーボ」と呼ばれますが、例えば 2010年に "PLOS One" に掲載されたハーバード大学の研究ではオープンラベル・プラシーボによって過敏性大腸症候群(IBD)の改善率が2倍になるという結果になっています。

この研究ではIBD患者80人を2つのグループに分けて、一方のグループには何も投与せず、もう一方のグループには「これはプラシーボです」と明らかにしたうえでプラシーボを投与しました。

知的障害者でもプラシーボ効果が得られる

カロリンスカ研究所とハーバード大学の研究チームが行い "Neurology" 誌(2017年)に掲載されたメタ分析によると、IQが70を下回る先天的な知的障害者の場合にもプラシーボ効果が得られると考えられます。 このメタ分析では、プラシーボを用いた24の研究のデータを分析しました。