線香の煙も体に悪い

(2013年8月) "Science of the Total Environment" 誌に掲載されたノースカロライナ大学の研究によると、線香などのお香の煙には空気を汚染する物質が含まれており、これらの物質によって肺の細胞に炎症が生じる恐れがあります。

お香の煙は過去の複数の研究において、①目・鼻・喉・皮膚への刺激、②喘息などの呼吸器症状、③頭痛、④心血管疾患の悪化、および⑤肺の細胞の構造の変化などの原因となることが示されています。

室内の空気汚染

室内の空気汚染は世界的に問題となっており、 WHO によると、慢性閉塞性肺疾患(COPD) によって毎年100万人以上の人が亡くなっています。 室内空気汚染の原因は主に、調理用のストーブや囲炉裏ですが、お香から出る煙にも、これらと同様の汚染物質(一酸化炭素など)が含まれています。

UAE では、衣服に香りをつけたり、調理時の匂いを消すことを目的として、94%の家庭で毎週のようにお香が焚かれています。 UAE の人たちは1日の90%を室内で過ごすため、室内の空気汚染は重大な問題です。

研究の内容

今回の研究では、アラブ首長国連邦(UAE)で一般的に用いられている2種類のお香に点火したときに放出される粒子とガスを特定および測定しました。

試験は、お香の煙の濃度が UAE の一般的な家庭と同程度になるように設計された実験室を用いて、3時間(お香が燃え尽きるまでにかかると考えられる時間)にわたって行われました。 分析の対象となったのは、粒子の濃度と、一酸化炭素・二酸化硫黄・窒素酸化物・ホルムアルデヒドなどのガスの濃度でした。

2種類のお香のいずれも、相当な量の粒子、一酸化炭素、ホルムアルデヒド、および窒素酸化物を放出していました。

ヒトの肺の細胞を実験室に設置してお香の煙に暴露させたものを、粒子が細胞に馴染み、細胞が粒子に反応するように24時間寝かせました。 その結果生じた炎症反応(喘息などの呼吸器系疾患の証拠)は、肺の細胞がタバコの煙に暴露されたときのものに類似していました。

実験に用いられたお香の成分
今回の実験に用いられたお香は、沈水香木(沈香)を主成分とし、これに白檀(サンダルウッド)の樹脂やエッセンシャルオイルを添加したものです。
日本の線香にも沈香と白檀が一般的に用いられています
研究グループは、お香を使用するときには窓や戸を開けるなどして換気を心がけることを推奨しています。