Johanna Rienks et al. "Polyphenol exposure and risk of type 2 diabetes: dose-response meta-analyses and systematic review of prospective cohort studies"
研究の方法
フラボノイドなどのポリフェノールの摂取量と2型糖尿病になるリスクとの関係を調べた18の前向き研究(2018年1月より前に発表されたもの)のデータを分析しました。
結果
ポリフェノール(トータル)の摂取量が最大の場合には最少の場合に比べて、2型糖尿病になるリスクが44%低下していました。
ポリフェノールの種類別では次のような結果でした:- フラボノイド全体: -12%
- フラボノール: -18%
- フラバン‐3‐オール: -11%
- カテキン: -14%
- アントシアニジン: -14%
- イソフラボン: -8%
- ダイゼイン: -11%(*)
- ゲニステイン: -8%(†)
- スチルベン: -56%
(*) ダイゼインの摂取量ではなくバイオマーカー(体内に存在する量)を調べた研究では-19%。
(†) ゲニステインの摂取量ではなくバイオマーカーを調べた研究では-21%。
ポリフェノール(フェノール酸を除く)やフラボノイドの摂取量が多いほど2型糖尿病になるリスクが低いというわけではありませんでした。
まとめ
今回の結果から、フラボノイドなどのポリフェノールを豊富に含む食事が2型糖尿病の予防に役立つ可能性があります。
ただし、2型糖尿病の予防という面においてポリフェノールの摂取量が多ければ多いほど良いというわけではなさそうです。 どの程度のポリフェノール摂取量が適切なのかは今後の研究で調べる必要があります。
今回登場したポリフェノールについて
フラボノールに分類されるフラボノイドには、ケルセチンやケンフェロール、ミリセチン、ナツダイダインなどがあります。 ナツダイダインは夏ミカンから発見されました。
フラボノールは、紅茶・豆類・玉ねぎ・ブロッコリー・りんご・ぶどう・赤ワイン・ブルーベリーなど様々な植物性食品に含有されています。- フラバン‐3‐オールはフラバンの派生物で、フラバノール(フラボノールとの混同に注意)という別名があります。 フラバン-3-オールを含有する食品には茶・りんご・ワイン・ココア(チョコレート)などがあります。
- カテキンは茶(特に緑茶)に豊富に含まれています。
- アントシアニジンは、ブルーベリーなどのベリー類のほか、色の濃いブドウ・赤ワイン・赤キャベツなどに豊富に含まれています。
- ダイゼインとゲニステインはいずれもイソフラボンの一種で大豆に含まれています。
- 「高血圧の予防にポリフェノールが効果?」によると、スチルベンの供給源は(少なくともブラジルでは)赤ワインと(色の濃い)ブドウです。