心臓の健康のためには多価不飽和脂肪酸の摂取量を増やすと良い

(2014年10月) "Arteriosclerosis, Thrombosis & Vascular Biology" 誌に掲載された東フィンランド大学の研究によると、魚油や野菜油、ナッツ類に含まれている多価不飽和脂肪酸(*)の摂取量を増やすことで冠状動脈疾患(心筋梗塞や狭心症など)のリスクを減らせる可能性があります。 今回の研究は男性のみを対象に行われました。
(*) 多価不飽和脂肪酸とは、オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸など)、オメガ6脂肪酸(リノール酸など)、オメガ9脂肪酸(ミード酸)の3種類。 このうち、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は、ヒトが体内で作ることができず食事などで摂取するしかない必須脂肪酸です。
これまでの研究

最近の複数の研究で飽和脂肪酸(肉や乳製品に多く含まれる)の摂取量が多くても冠状動脈疾患のリスクは増加しないという結果になっています。 したがって、冠状動脈疾患のリスクを減らすには飽和脂肪酸の摂取量を減らすだけで、飽和脂肪酸を減らした分だけ何を増やすかというのが問題なのだと考えられます。

これまでの複数の研究によると、心血管疾患(心臓疾患や脳卒中など)のリスクを減らすには、飽和脂肪酸を減らした代わりに炭水化物ではなく多価不飽和脂肪酸の摂取量を増やすのが有効だと思われます。

今回の研究

この研究では、42~60才の男性 1,981人を21.4年間にわたり追跡調査しました。 追跡期間中に冠状動脈疾患と診断されたのは565人で、これらの冠状動脈疾患のうち183件が死亡の原因となりました。

コンピューターを用いて脂肪酸を別の種類の脂肪酸または炭水化物に置き換えることによる冠状動脈疾患リスクへの影響を調べたところ、飽和脂肪酸の代わりに炭水化物を摂るようにしても、心臓疾患リスクへの影響はありませんでした。

一方、飽和脂肪酸の摂取量を減らす代わりに多価不飽和脂肪酸を増やした場合には、心臓疾患で死ぬリスクが減っていました。 さらに、飽和脂肪酸に限らず、トランス脂肪酸や炭水化物(グリセミック指数を問わない)を減らして多価不飽和脂肪酸の摂取量を増やすのであっても心臓疾患で死ぬリスクが減っていました。

驚いたことに、一価不飽和脂肪酸の摂取により(心臓疾患による死亡の?)リスクが増加していました。

アテローム性頚動脈硬化でも、脂肪酸の種類と心臓疾患による死亡率とのあいだに同様の関係が見られました。

今回の研究でも、飽和脂肪酸の摂取量を減らして、その分だけ不飽和脂肪酸の摂取量を増やすのが心血管疾患のリスクを減らすのに有効であることが示唆されました。