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ポジティブな感情が豊かな人は全身的に炎症が少ない

(2017年7月) "Emotion" 誌に掲載されたコーネル大学の研究によると、1日のうちに感じるポジティブな感情(*)の多様性が炎症の抑制につながる可能性があります。
(*) 幸せ・歓喜・熱中・冷静沈着・興味をそそられる・断固たる決意・わくわくする・面白いと感じる・自分を強いと感じるなど。

炎症について

炎症は病原体や有害物質に対して免疫系が引き起こす自然免疫反応の一部で、傷の治癒を促進したり病原菌を抑制したりするのに役立ちます。

しかし、炎症は健全な組織まで傷つけてしまうので、感染症や怪我などが生じていないときにも炎症がだらだらと継続する慢性的な炎症は体にとってマイナスとなります。 慢性的な炎症はガン・糖尿病・心臓疾患・リウマチ・抑鬱・アルツハイマー病など様々な病気の一因になると考えられています。

慢性炎症の原因となるのは、体内から排除されずに残っている病原体・有害物質・免疫系の異常・運動不足・肥満・遺伝的体質・加齢などですが、食事内容も慢性炎症に大きく影響します。

研究の方法

40~65才の男女175人に30日間にわたり毎晩、1日のうちに16種類のポジティブな感情と16種類のネガティブな感情(*)をどの程度感じたかを記録してもらいました。 そして半年後に血液を採取して、炎症のバイオマーカー(†)の濃度を検査しました。

(*) 恐怖・狼狽・苦悩・神経過敏・恥辱など。

(†) 全身的に生じている炎症の指標となる血中物質。 今回の研究では、インターロイキン-6・C反応性タンパク質・フィブリノゲンを指標とした。

結果

ポジティブな感情の多様性の幅が大きかった人は多様性の幅が小さかった人に比べて、炎症のバイオマーカーの数値が小さい(炎症が少ない)という結果でした。 ネガティブな感情の多様性と炎症バイオマーカーとの間には関係が見られませんでした。

解説

エモディバーシティー

今回の研究に登場した「感情の多様性」は「エモディバーシティー(emodiversity)」と呼ばれます。 "emodiversity" は "emotion(感情)" と "diversity(多様性)" をくっつけた造語でしょう。 エモディバーシティーが大きな人は1日のうちに様々な感情を感じます。

"emodiversity" という言葉が最初に使われたのはイェール大学などの研究チームが 2014年に "Journal of Experimental" に発表した研究だと思われますが、この 2014年の研究では3万7千人のデータを調査して、エモディバーシティーが大きい(多様な感情を感じる)人は心身ともに健康である(抑鬱を感じることが少なかったり病院をあまり利用する必要がなかったりする)ことが多いという結果になっています。

今回の研究によると、エモディバーシティーが炎症を介して心身の健康に影響している可能性があります。

アドバイス

研究者によると、自分がポジティブな感情を感じるたびに感じた感情を分類することで、ポジティブな感情を多様化できる可能性があります。 自分がどういうポジティブな感情を感じているかを分類するために「いま自分はワクワクしているな」とか「いま自分は冷静沈着だ」など自分の感情を明確化しようとするうちにポジティブな感情に対する感受性が増し、その結果ポジティブな感情の多様性が増すのでしょう。

いま流行り(?)の概念に「マインドフル」というものがありますが、この研究者のアドバイスは「自分のポジティブな感情に対してマインドフルであれ」ということになると思います。

「マインドフル」とは今の自分の心身の状態を自覚している状態のことです。 「マインドフルな性質の人は太りにくい」とか「マインドフルな性格の人は血糖値が健康的である」といった研究がこれまでに発表されています。

昨日公開した「病は気から。 運動不足を自覚しているだけで早死のリスクが増加」という記事にしても、「自分の運動量に対してマインドフルであれ」ということでしょう。