(2018年7月) "European Journal of Nutrition" に掲載されたメタ分析で、ジャガイモを食べる量と慢性疾患になるリスクとの間に概ね関係が見られないけれど、特定の調理法で食べると一部の慢性疾患のリスクが増加するという結果になりました。
メタ分析の方法
ジャガイモの摂取量と死亡リスクや慢性疾患(心臓病・脳卒中・大腸ガン・2型糖尿病・高血圧)になるリスクとの関係を調べた28の前向きコホート研究(2018年5月までに発表されたもの)のデータを分析しました。
結果
死亡リスク
6つの研究のデータを分析したところ、ジャガイモ摂取量と死亡リスク(死因は問わない)との間に関係が見られませんでした。
心血管疾患(心臓病・脳卒中)
心臓病と脳卒中それぞれ6つずつの研究のデータを分析したところ、心臓病についても脳卒中についても、ジャガイモ摂取量と発症リスクとの間に関係が見られませんでした。
大腸ガン
8つの研究(サツマイモを調べた研究1つを含む)のデータを分析したところ、ジャガイモ摂取量と発症リスクとの間に関係が見られませんでした。
2型糖尿病
7つの研究のデータを分析したところ、ジャガイモ摂取量が150g/日増えるごとに2型糖尿病になるリスクが18%増加していました。
2型糖尿病リスクの増加はジャガイモをフライド・ポテトにして食べた場合に顕著で、150g/日あたり66%のリスク増加でした。
ジャガイモを茹でたり焼いたりマッシュド・ポテト(牛乳とバターが使われる)にして食べたりする場合には、150g/日あたり9%のリスク増加でした。
高血圧
ジャガイモ摂取量が最大の場合と最少の場合との比較では高血圧になるリスクに差が見られなかったものの、従量制的なリスクを計算するとジャガイモ摂取量が150g/日増えるごとに高血圧のリスクが12%増加していました。
調理法別に分けて見ると、ジャガイモ摂取量と高血圧リスクとのあいだに関係が見られたのはフライド・ポテトだけ(150g/日ごとに37%のリスク増加)でした。
ただし高血圧に関しては、メタ分析に使用された各研究の間の差異(heterogeneity)が大きかった点に注意が必要です。