胸焼けの薬(PPI)で血管の老化が加速する

(2016年5月) "Circulation Research" 誌に掲載された Houston Methodist Research Institute の研究によると、胸焼け(胃食道逆流症)の薬の一種であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)の長期使用によって血管の老化が加速します。出典: Common Antacid Linked to Accelerated Vascular Aging

これまでの研究で、PPIの使用により心臓発作・腎臓疾患・認知症のリスクが増加することが示されていますが、今回示された血管の老化がこのようなリスクの増加を引き起こしている可能性があります。

PPIは処方された通りに飲むならば効果的ですが長期間の使用は承認されておらず、そういう意味においてPPI使用の70%が不適切であると推算されています。

研究の方法
ヒトの血管内皮細胞(*)を長期間にわたってPPIに暴露させるという実験を行いました。
(*) 血管の内側を覆う細胞。
結果
血管が粘着しやすくなった

PPIへの暴露によって、血管内皮細胞の老化が早まりました。 健康な血管内皮はテフロン加工がされたような感じで血液が粘着しないよういなっていますが、加齢や病気のために血管が老化すると血管内皮がマジックテープのようになって血液が粘着しやすくなり、血管が詰まりやすくなります。

老廃物を処理できなくなった

さらに、PPIへの暴露によって血管内皮細胞のリソソームの酸性度も低下していました。 リソソームとは老廃物を処分するための機構で、これが適切に機能するには酸性である必要があります。 リソソームの酸性度が低下した血管内皮細胞では、細胞の老廃物が蓄積して老化が促進されていました。

コメント
研究者は次のように述べています:
「PPIを数週間続けて服用するぐらいでは心臓や血管への悪影響は無いと思われます。 また、同じ胸焼けの薬でもヒスタミン2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)であれば血管内皮への悪影響は生じませんでした」