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プロトンポンプ阻害薬はひそかに服用者の腎臓を蝕む

(2017年2月) プロトンポンプ阻害薬(PPI) という胸焼けの薬を長期間にわたり服用していると腎不全など深刻な腎臓病のリスクが増加することがあります。

そしてPPIの副作用としての腎臓病の発症を判断する手掛かりの1つが急性的な腎臓トラブルの発生ですが、"Kidney International" 誌に掲載されたワシントン大学の研究によると、PPIを服用していて腎臓に慢性的なダメージが生じる人の半数以上は腎臓の急性的な問題(*)を経験していません。
(*) 尿量の減少・疲労感・脚や足首のむくみなどが症状。 慢性的な腎臓疾患と違って回復することも多い。

したがって、PPIの服用により腎臓にダメージが生じているのに気づかずPPIの服用を続けているという事態になっている恐れがあります。

研究の方法
PPIの新規服用者12万人超とヒスタミン2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)(*)の新規服用者1万8千人超を5年間にわたり追跡調査したデータを分析しました。
(*) PPIほど効果的ではないが腎臓に問題が生じることが少ない。
結果

PPI服用者のうち腎臓の急性的な問題が経験したのは20%未満でした。 PPIの服用が関わる慢性腎疾患や末期腎疾患(*)を発症したPPI服用者の50%以上が、腎臓の急性的な問題を経験していませんでした。

これに対してH2ブロッカーの服用者では、腎臓の急性的な問題を経験せずに慢性腎疾患になったのは7.67%、末期腎疾患になったのは1.27%でした。
(*) 腎臓が老廃物を体外へと排除できなくなった状態。 透析や腎臓移植が必要となる。
コメント
研究者は次のように述べています:
「(PPIにより生じる)腎臓の問題は、徐々に、そして密かに腎機能を損なってゆき、最終的には腎不全になることすらあります。 PPIは必要なときにのみ使用すべきです。 また、PPIを服用していることを医師に伝えるべきです」
「医師は、PPIを服用している患者に腎臓の問題の兆候が生じていなくても、患者の腎機能に注意を払う必要があります。 PPIは、本当に必要な患者だけに処方するようにしましょう」