閲覧以外で当サイトのコンテンツを利用する場合には必ず引用・転載・ネタ探しをするときのルールに目を通してください。

閉経前には喫煙により増加する乳ガンのリスクが閉経後には低下する

(2017年7月) "European Journal of Epidemiology" に掲載されたマーストリヒト大学の研究によると、喫煙が乳ガンのリスクに及ぼす影響が閉経前と閉経後とで逆転する可能性があります。

研究の方法

55~69才の女性6万人超を対象に、喫煙歴や食生活などに関するアンケート調査を行ったのち、20年間にわたり乳ガンの発生状況を追跡調査しました。

結果

追跡期間中に 2,526件の乳ガンが発生しました。

閉経前には喫煙量が多いほど乳ガンのリスクが増加していた一方で、閉経後には喫煙量が少ないほど乳ガンのリスクが低下していました。

喫煙量が20パック年(*)増えるごとに、閉経前には乳ガンのリスクが35%増加し、閉経後には乳ガンのリスクが53%低下するという計算になります。
(*) 「パック年」とは、「1日あたりの喫煙パック数×喫煙年数」のこと。 したがって、20パック年とは、毎日2パックを10年間吸い続ける場合や、毎日1パックを20年間吸い続ける場合などに相当します。 毎日20パックを吸うなら1年間。

解説

喫煙は乳ガンのリスク要因ですが、エストロゲン(女性ホルモン)の量を減らす作用もあるよるです。 女性の喫煙者で閉経が早かったり、骨折のリスクが増加したり、子宮内膜ガン・子宮筋腫・乳房の良性腫瘍のリスクが低下したりすることが知られていますが、これらはいずれも喫煙によるエストロゲン減少と関係があると考えられます。

閉経後の女性でのみ喫煙により乳ガンのリスクが減っていたのは、喫煙のエストロゲン低下作用が閉経によるエストロゲン減少に拍車をかけたためかもしれません。 閉経前の女性で喫煙により乳ガンのリスクが増加していたのは、閉経前にはエストロゲンが多くて、喫煙でエストロゲンが少し減るくらいでは喫煙の発ガン作用のほうが強いからかもしれません。

また、閉経前と閉経後とではエストロゲンの主要な供給源が異なり、喫煙は閉経後におけるエストロゲンの供給源に強力に作用するのだと考えられます。

閉経後の喫煙のリスク

閉経後の女性に限っても、喫煙により骨粗鬆症・心臓病・脳卒中などのリスクが増加するというデータがあります。

研究のスポンサー

今回の研究のスポンサーは不明ですが、タバコ会社は資金を提供していないようです。