糖尿病前症の人ではガンのリスクが15%増加

(2014年9月) "Diabetologia" 誌に掲載された中国のメタ分析で、糖尿病前症によってガンのリスクが15%増加するという結果になりました。

糖尿病前症とガンの関係についてこれまでに複数の研究が行われていますが、それらの結果は一致していません。

メタ分析の方法

過去に行われた16の研究のデータを分析しました。 そのうち4つはアジアで行われた研究で、11は欧米、残りの1つがアフリカで行われた研究です。

結果

糖尿病前症の人では各種のガン全体のリスクが15%増加していました。 さらに、肥満が糖尿病のリスク要因であると同時にガンのリスク要因でもあることから、BMI を要因として考慮した研究のデータのみを用いた感度分析を行ったところ、糖尿病前症によるガンのリスクの増加は22%となりました。

糖尿病前症とみなされる状態には耐糖能障害(IGT)と空腹時血糖異常(IFG)の2種類がありますが、両者の間でガンのリスク増加量に違いはありませんでした。
IFG の基準には、WHO などのガイドラインによるもの(6.1-6.9mmol/L)と米国糖尿病学会が定めた比較的厳しいもの(5.6-6.9 mmol/L)の2種類がありますが、どちらの基準を用いてもガンのリスク増加度は同程度でした。

ガンの種類別では、胃/結直腸(相対リスクで1.55倍)、肝臓(2.01倍)、すい臓(1.19倍)、乳房(1.19倍)、子宮内膜(1.6倍)において、糖尿病前症との相関関係が有意に認められました。

気管支/肺、前立腺、卵巣、腎臓、および膀胱のガンについては、糖尿病前症とのあいだに相関関係は見られませんでした。

解説
糖尿病前症の人でガンのリスクが増加する理由として研究グループは、次の3つの可能性を挙げています:
  1. 慢性的な高血糖および、これに由来する慢性的酸化ストレスや最終糖化産物(AGE)などが発がん性物質として作用する。
  2. インスリン抵抗性が増加するためにインスリンの分泌量が増え、それによってガン細胞の分裂・増殖が促進される。
  3. (糖尿病前症になり易い人は)遺伝的にガンにもなり易い可能性がある。 最近の研究で、腫瘍抑制遺伝子の機能不全によってガンだけでなく糖尿病前症のリスクも増加することが示されている。
研究グループによると、メトホルミンという2型糖尿病の薬にガン予防効果のあることが知られています。 糖尿病患者の場合にはメトホルミンによって生涯のうちにガンになるリスクが30%ほど減少しますが、糖尿病前症の人にも同じ効果があるかどうかは不明です。