妊娠中に抗てんかん薬を服用していると生まれる子供が自閉症になりやすくなるが、葉酸の服用でこのリスクを緩和できる

(2016年6月) "Norsk Epidemiologi" に掲載されたベルゲン大学(ノルウェー)の研究によると、妊娠中に抗てんかん薬を服用していると生まれる子供が自閉症となるリスクが増加しますが、葉酸(folic acid)を十分に摂取しておくことでこのリスク増加を防げるかもしれません。

研究の方法
5万8千人の3才児のデータを用いて、次の4つの場合の自閉症のリスクを調べました:
  1. 母親が癲癇ではない場合
  2. 母親が癲癇だが妊娠中に抗てんかん薬を服用していなかった場合
  3. 母親が癲癇で妊娠中に抗てんかん薬を服用していたが、葉酸のサプリメントを服用していた(葉酸塩の血中濃度が十分だった)場合
  4. 母親が癲癇で妊娠中に抗てんかん薬を服用しており、葉酸のサプリメントを服用していなかった場合
結果
主な結果は次のようなものです:
  • 母親が癲癇でない場合、子供が自閉症と診断される率は4%だった。
  • 母親が癲癇だが抗てんかん薬を服用していない場合、子供が自閉症と診断される率は3%だった。
  • 母親が癲癇で妊娠中に抗てんかん薬を服用していた場合には、12%の子供が自閉症と診断された。
  • 母親が癲癇で妊娠中に抗てんかん薬を服用していたグループにおいて、葉酸のサプリメントを服用していなかったグループは葉酸サプリメントを服用していたグループに比べて、生まれる子供が自閉症と診断されるリスクが6倍だった。(それぞれのグループのパーセンテージは不明)
    この結果は、妊娠中の母親の癲癇発作・抑鬱・社会経済的状態(収入・職業・学歴など)・抗てんかん薬の血中濃度・コチニン血中濃度などの要因を考慮した後のものです。
コメント
研究者は次のように述べています:
「(妊娠中に抗てんかん薬を服用している場合には、)妊娠中における葉酸塩血中濃度が低いほど、生まれた子供が3才になったときに自閉症的な性質が見られることが多いという結果でした。 したがって、癲癇を抱えている女性は妊娠初期のうちから葉酸のサプリメントを服用しておくことが必須です」
アドバイス
妊娠中に抗てんかん薬の服用を継続すると胎児に悪影響が生じる恐れがありますが、抗てんかん薬の服用を中止するのは母子双方にとってさらに危険です:
  • 妊娠中に重度の発作が生じると、酸素が欠乏して胎児がダメージを受けたり死んだりしてしまうことがあります。
  • 女性が妊娠中に死亡する理由の5%は癲癇が原因です。
癲癇がある女性は、てんかん治療を担当する神経科医の指導の下で妊娠を計画するようにしましょう。