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妊娠中にも1日あたり30分未満で良いので運動を

平均的な妊婦は起きている時間の75%を動かずに過ごしています。 それでも大部分の妊婦は妊婦向けの運動量基準を満たしていますが、基準を満たして入れば十分だというわけでもありません。

妊娠中の運動の必要性

妊娠中に体重が過度に増えると妊娠高血圧・妊娠高血圧腎症妊娠糖尿病・出産後の肥満などの妊娠合併症のリスクが増加するだけでなく、胎児が生後に肥満児になりやすくなりますが、こういった事態を防ぐのに運動が有効です。

これまでに様々な研究で、妊娠中の運動が妊娠合併症のリスク低下や妊婦の精神安定にとって有益となることが示されています。 妊娠中の運動により分娩所要時間が短くなるという話や、妊娠中の運動が胎児の脳の発達に有益だという話もあります。

逆に、妊娠中の適度な運動習慣が胎児の発達や早産・低体重児のリスクに悪影響を及ぼすというエビデンスはほぼ存在しません。

2017年に "BJOG (British Journal of Obstetrics and Gynaecology)" に発表されたメタ分析(*)でも、妊娠中に1週間あたり180分間の運動をしている女性は早産のリスクが10%低いという結果になっています。
(*) 過去に発表されたテーマを同じくする複数の研究のデータを統合的に分析する研究。
同じく 2017年に "Scientific reports" 誌に掲載されたメタ分析の結果を見ても、妊娠中の運動が少なくとも早産のリスクを増加させることは無いようです。 このメタ分析では、7つのケース・コントロール研究と18のコホート研究と12の介入試験のデータを分析し、運動量が最大の場合には最少の場合に比べて、ケース・コントロール研究では17%、コホート研究では40%、それぞれ早産のリスクが低いという結果になっています。 介入試験については、妊娠中の運動により早産のリスクは減っていませんでしたが、リスクが増えてもいませんでした。
研究タイプによる信頼性は介入試験が最も高く、その次がコホート研究です。
30分未満の運動でも有効

妊婦向け運動プログラムの大部分では1日30分の運動を推奨していますが、2013年8月に発表されたアイオワ州立大学の研究によると、過度の体重増加を防止するには30分未満の運動でも有効です。

これは、運動する習慣がある妊婦に運動を減らせというわけではなく、運動をしていない妊婦が運動量を増やすことを意識するだけでも体重増加の防止に有効だということです。 例えば、5分ほど家の周りを散歩するとか、通勤に自家用車を使うのを止めるとか、エスカレーターやエレベーターではなく階段を使うとかです。

妊婦に推奨される運動の種類

妊娠中には、他人とぶつかったり転んだりするような競技はしてはなりません。 妊婦に向いているのは、ウォーキング・水泳・アクアビクス・緩やかなアエロビクス・妊婦向けのヨガやピラティス・サイクリングマシン・ジョギングなどです。

妊娠中の運動として適度な筋力トレーニングも有益です。 ほどほどの筋力トレーニングによって姿勢の悪さ・疲労感・頭痛・吐き気・不眠・背中の痛みなどが軽減されるというデータがあります。

運動は医師と相談したうえで
妊娠中に運動習慣を始めるときには、医師に相談したうえで健康状態や運動能力に応じて運動の内容を決定する必要があります。 以下に該当する場合には特に注意が必要です:
  • 心疾患・肺疾患・子宮頸管無力症(早産の原因となる)がある場合。
  • 双子や三つ子を身篭っていて早産の恐れがある場合。
  • 妊娠13週目以降に膣から繰り返し出血する場合。
  • 妊娠26週目以降に前置胎盤(胎盤の位置に問題が生じている)が観られる場合。
  • 妊娠高血圧腎症が生じている場合。
直ちに運動を中止すべきケース
次に該当する事態が生じたら直ちに運動を中止しましょう:
膣からの出血・定期的な陣痛・破水(羊水の流出)・安静時の息切れ・めまい・胸の痛み・転倒の原因となりかねない下肢の異常(痛みなど)