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妊娠中のビタミンD

妊娠中に必要なビタミンDの量

妊娠中のビタミンD推奨摂取量は、日本の基準では7μg/日とされていますが、米国の基準では15μg/日とされています。

ビタミンDの補給

ビタミンDの補給源は日光(紫外線)や食事ですが、ベジタリアンである場合・日光にあまり当たらない場合・肌の色が黒い(日光に当たってもビタミンDが合成されにくい)場合・日焼け止めを常用している場合には、ビタミンDが不足しがちです。

ただし、2014年に発表されたオーストラリアの研究に、妊娠中に日光に当たることが多いと体内に存在する葉酸塩の量が最大で20%ほど減少し、妊娠中に推奨される量を下回ってしまうという結果になったものがあるので、日光の当たり過ぎにも注意が必要かもしれません。
妊娠中に葉酸が不足すると、流産のリスクや生まれる子供が二分脊髄などの神経管奇形になるリスクが増加します。

ビタミンDが不足している恐れがあるときにはサプリメントを利用しても良いですが、サプリメントを飲み始める前には必ず医師に相談しましょう。

妊娠とビタミンD
  • 陣痛軽減
    Cedars-Sinai Medical Center の研究で、ビタミンD血中量が少ない妊婦の方が麻酔の必要量が多いという結果になったことから、ビタミンD不足の解消が陣痛の軽減に有効だと思われます。
  • 胎児の発育
    ピッツバーグ大学が 2013年に発表した研究で、妊娠中にビタミンDが不足すると、①新生児の体重と頭囲(頭のサイズ)が不足し、②妊娠期間に比して新生児が小さくなるリスクが二倍になるという結果が出ています。
  • 胎児の脳の発達
    マウス実験ですが、妊娠前~妊娠中にビタミンDが欠乏していると胎児の脳の発達が損なわれるという結果になった研究があります。 ビタミンDが欠乏しているマウスでは、胎児の脳のサイズが小さいほか、言語能力に関する遺伝子にも異常が見られました。
  • 胎児の筋力
    2014年の英国の研究によると、妊娠中にビタミンDを十分に摂っておくと、生まれてくる子供の筋肉が強くなると考えられます。 この研究では4才の時点での筋力を測定しただけですが、研究者によると、妊娠中の母親のビタミンD体内量は、生まれてくる子供の成人後の筋力にも影響する可能性があります。
  • 胎児の歯の健康
    妊娠中のビタミンD体内量と生後の子供の虫歯率とを照らし合わせた研究で、子供に虫歯が見つかった女性では、そうでない女性に比べて、妊娠中にビタミンDが不足している率が高いという結果になったものがあります。 胎内で歯が形成される時期にビタミンDが不足することによって胎児の歯のエナメル質に欠陥が生じ、そのために生まれた子供が虫歯になりやすくなっている可能性があります。
  • 生後の発達
    2012年に発表されたスペインの研究によると、妊娠中(妊娠4~6ヶ月)にビタミンDを十分に摂っていると、生後の発達テストの成績が良くなると考えられます。
  • 早産のリスク
    3,200人超の妊婦のデータを分析した研究で、ビタミンD血中量が最も少ないグループでは最も多いグループに比べて、早産のリスクが1.5倍に増加していた。
  • 妊娠合併症のリスク

    2013年に発表されたカナダのメタ研究(過去の複数の研究のデータを分析する)によると、妊娠中にビタミンDが不足していると妊娠合併症になるリスクと、新生児が低体重になるリスクが増加します。

    妊娠合併症のリスク増加率は、妊娠性糖尿病(妊娠中にかかる糖尿病)が49%、妊娠高血圧腎症(高血圧とタンパク尿)79%、細菌性膣炎(早産の原因となる感染症)が187%というものでした。 新生児が低体重となるリスクは85%の増加でした。
  • 重症妊娠高血圧腎症のリスク
    2014年に発表されたピッツバーグ大学の研究によると、妊娠開始初期の26週間のあいだにビタミンDが欠乏していると、重症妊娠高血圧腎症(preeclampsia)になるリスクが増加すると考えられます。 この研究で 3,700人の妊婦の血液を調べたところ、ビタミンDの血中量が十分な妊婦では重症妊娠高血圧腎症になるリスクが40%減少していたのです。