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妊娠前~妊娠中のビタミンD不足が胎児の脳の発達に悪影響?

(2015年3月) "Behavioural Brain Research" 誌に掲載された西オーストラリア大学などの研究によると、妊娠前~妊娠中にビタミンDが不足していると胎児の脳の発達に支障が出るかもしれません。 (出典: Vitamin D vital for gene expression in developing brains by Samantha Saw)

研究の方法

メスのマウスたちを2つのグループに分けて、妊娠前から妊娠中にかけての5週間のあいだ、一方のグループにはビタミンDを与え(2195 IU/kg)、もう一方のグループにはビタミンDを一切与えずに過ごさせました。

その後、妊娠14.5日目および17.5日目(*)の時点で胎児の脳の形状と、ニューロン(神経細胞)の生存・発達・機能に関与する4つの遺伝子の発現状況(†)を調べました。

(*) マウスにおいて妊娠14.5日目というのは妊娠期間の2/3ほどが経過した時期に当たり、脳の大体の部分は完成していますが細かいところがまだ完成していません。 17.5日目というのは出産直前に当たります。

(†) 「遺伝子の発現」とは遺伝子の設計図に基づいて体内で特定のタンパク質が作られることです。
結果

ビタミンDを与えられていなかったグループのマウスの胎児は、体長・頭のサイズ・側脳室の容積が減少しており、さらに脳における遺伝子の発現にも異常が生じていました。

調査対象となった4つの遺伝子のうちビタミンD欠乏の影響が強く見られたのは Foxp2(forkhead box protein p2)遺伝子(*) と、TH(tyrosine hydroxylase)という遺伝子でした。
(*) Foxp2 や TH というのはタンパク質です。 「Foxp2(あるいはTH)というタンパク質の合成を担当する遺伝子」という意味で「Foxp2(TH)遺伝子」あるいは単に「Foxp2(TH)」という言い方をするようです。
TH の発現量低下

妊娠17.5日目の検査において、ビタミンD欠乏グループの胎児(メス)では TH の発現量が67%低下していました。

(遺伝子ではなくタンパク質の方の)TH は「気分が良くなる化学物質」として有名なドーパミンの合成に関与している酵素です(各種酵素の大部分はタンパク質に分類されます)。
Wikipediaに「TH が阻害されるとドーパミンとノルアドレナリンが枯渇する」とあるので、TH 遺伝子の発現量が低下するとドーパミンが不足するのでしょう。 (ドーパミンの前駆体である L-DOPA は L-チロシンというアミノ酸から作られますが、その過程において TH が必要となるのだそうです)
Foxp2 の発現量低下

妊娠14.5日目の検査において、ビタミンD欠乏グループの胎児(メス)では大脳皮質における Foxp2 の発現量が30~32%低下していました。 妊娠17.5日目の検査では発現量の低下率が69%にまで拡大していました。

Foxp2 は発話と言語能力の発達に関わる遺伝子です(Wikipedia によると、Foxp2 遺伝子により合成される Foxp2 タンパク質が発話や言語能力の発達に関わっています)。 Foxp2 は一部の自閉症にも関与している可能性があります。
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