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妊娠中の喫煙で、生まれる子供が ADHD になるリスクが増加する

喫煙により胎児の ADHD リスクが増加
(2014年5月) "JAMA Psychiatry" に掲載されたドイツの研究によると、胎児のときに母親に喫煙された人では注意欠陥・多動性障害(ADHD)のリスクが増加する可能性があります。

このような人においては、抑制制御(不適切な反応を抑制する能力)を測定するための作業を実行しているときの脳の反応が弱かったのです。 ADHD の人では抑制制御が不十分であることが他の研究で示唆されています。

この研究では、胎児のときに母親に喫煙された男女175人を対象に、2~15才までの13年間にわたって ADHD の症状の有無を追跡調査し、25才の時点で脳を fMRI(機能的磁気共鳴画像法)を用いて脳を撮影しました。 母親の人数は178人(なぜか子供の数よりも多い)で、そのうちの140人が非喫煙者でした。

胎児のときに母親に喫煙された人では、抑制制御 vs. 中立的な刺激(neutral stimuli)を測定する作業(何かのスコアを測るテストか何かでしょう)をしたときの脳の反応が劣っており、ADHD の症状を示すケースが増えていました。

ニコチン補充療法でも ADHD リスクが増加
(2014年7月) "Pediatrics" 誌オンライン版に掲載されたオーフス大学(デンマーク)の研究によると、妊娠中の喫煙によって、生まれる子供が ADHD になるリスクが増加するようです。 禁煙のためのニコチン補充療法(ニコチンを含有するガムや貼り薬)でも同様のリスク増加があると思われます。

この研究では、デンマークの子供8万5千人近くの医療記録を調査しました。 このうち2千人超に ADHD の兆候が見られました。 調査の主な結果は次の通りです:
  • 子供が ADHD である率は、両親が非喫煙者の家庭では1.8%、父親が非喫煙者で母親が禁煙した家庭では2%、両親が喫煙者の家庭では4.2%だった。
  • 父親が非喫煙者で母親が喫煙者である家庭では、子供が ADHD である率は3.8%だった。
  • 父親が非喫煙者で母親がニコチン補充療法を行なっていた家庭では、子供が ADHD である率は3.4%だった。
  • 父親が喫煙者で母親がニコチン補充療法を行なっていた家庭では、子供が ADHD である率は2.9%だった。
幸いなことに、妊娠前の喫煙では子供が ADHD になるリスクは増加していないようでした。 妊娠に気付いたら直ちに禁煙し、禁煙の際にもニコチン補充療法を用いる期間をなるべく短くすると良いでしょう。

研究者によると、喫煙による胎児の脳への悪影響には、ニコチンだけでなく一酸化炭素なども関係している可能性があります。

この結果を解釈する際の注意事項として研究グループは、妊娠中にニコチン補充療法を使用していた母親の数が29人と少ない点と、今回の研究に参加した家庭の大部分が7年間の追跡調査(子供の行動を調査する)には参加しなかった点を挙げています。

また、ADHD には遺伝的な要因もありますが、遺伝的に ADHD になりやすい人は喫煙習慣に染まりやすいことが知られています。 したがって、今回の結果にしても、母親の妊娠中の喫煙によって ADHD の子供が生まれるリスクが増えたのではなく、母親が ADHD の遺伝的要因を潜在的に受け継いでいたために(ADHD と喫煙に共通する遺伝子が原因で)①母親が喫煙者となり、②生まれた子供が ADHD になる(母親に潜在的に存在していた ADHD が子供で顕在化する)率が高くなった可能性もあります。