早産のリスクがある場合にも、寝たきりではいけません

運動を控えても未熟児のリスクは減らない

(2013年5月)子宮頚部が短い、あるいは双子を妊娠しているなど早産のリスクが高い妊婦に対しては休息が医師により指示されることが少なくありませんが、"Obstetrics & Gynecology" 誌に掲載されたノースウェスタン大学(米国)の研究によると、妊娠中に横になって休んでいても早産のリスクは下がりません。

子宮頚部が短い妊婦に医師が休息を指示した場合に早産(37週目より前)のリスクが(活動レベルを制限しなかった妊婦に比べて)二倍以上になるという結果だったのです。

研究者によると、子宮頚部が短い妊婦に限らず、早産リスクの高い妊婦に対して休息が有効であるという十分なエビデンスはありません。 さらに、ベッドで寝たきりになっていると、血栓などの副作用のリスクも生じます。

研究の方法

646人の妊婦に対して毎週、医師から活動制限の指示が出されたか否かを尋ねました。 646人中、活動制限(仕事の制限、仕事をしないなど)またはベッドでの休息を指示されたのは39%でした。 活動制限または休息の期間は、平均で24週間でした。

結果

活動制限(または休息)を指示された妊婦では早産の率が37%であったのに対して、平常どおりに生活していた妊婦では17%でした。 これらの数字は、妊婦の年齢・人種・病歴・超音波検査で明らかになった問題を考慮したうえでのものです。

コメント
研究者は、早産を懸念する余りに活動レベルを極端に制限し過ぎないようにと主張しています:
「早産リスクがあるからジョギングの習慣を止めるというのであれば問題ありませんが、早産リスクがあるから寝たきりでいるというのはお勧めできません。」
米国のガイドラインでも運動を推奨

Society for Maternal-Fetal Medicine(SMFM)という米国の学会が 2014年9月に発表したガイドラインでも、早産リスクがある妊婦が安静にしていても早産率は低下しないとされています。

胎児の成長不足の原因が胎盤への血液供給不足にあると思われるケースがあり、そういう場合には胎盤への血流改善を目的として安静が指示されることがあるのですが、安静による胎盤への血流改善効果は複数の研究によって否定されています。

その一方で、安静がいくつかの弊害をもたらす可能性が指摘されています。 まず、妊婦であってもなくても、活動制限によって筋肉と骨が弱ることが知られています。 寝たきりの生活をわずか数日間続けるだけでも体に悪影響があります。

安静の弊害
「安静」には他にも次のような弊害があると考えられます:
  • 安静状態で体を動かさずにいると、深部静脈血栓(脚にできる血栓)のリスクや、そうして生じた血栓が肺に移動する(肺塞栓症)リスクが増加する可能性があります。 このような血栓は(通常の人に比べて)妊婦に多いのですが、運動量を制限することによって、そのリスクがさらに増加する可能性があります。
  • 活動量の不足は、妊娠糖尿病のリスクが増加する原因にもなりかねません。 SMFM によると、妊娠合併症で入院した妊婦では(入院により活動量が減るので?)妊娠糖尿病のリスクが増加する可能性があります。 妊婦以外の人でも一般的に、活動を制限されると血糖値が上がります。
  • 活動量の不足は不安感や鬱などのリスクが増加する原因にもなります。
  • 家の内外での活動(仕事)を控えることによって、家族の精神面や家計にも悪影響が生じることがあります。
結論
SMFMのガイドラインでは、次のように結論づけられています:
「活動制限または安静が妊婦や生まれた子供に有益であることを示すエビデンスは非常に乏しい。 その一方で、活動制限や安静が母子や家族に悪影響を及ぼすことは十分に示されている」