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若いうちから肉の代わりに大豆を食べておくと動脈硬化予防になる

(2014年7月) "Menopause" 誌に掲載された Wake Forest School of Medicine の研究(サルを用いた実験)で、生涯における大豆の摂取習慣とアテローム性動脈硬化との関係が明らかになりました。

研究の方法
カニクイザルという猿の仲間を次の4つのグループに分けて比較しました:
  1. 動物性タンパク質を主に食べ、閉経後(卵巣の切除により人為的に引き起こした)にも動物性タンパク質を食べ続けるグループ。
  2. 植物性タンパク質(大豆由来でイソフラボンを豊富に含む)を主に食べ、閉経後にも植物性タンパク質を食べ続けるグループ。
  3. 動物性タンパク質を主に食べ、閉経後には植物性タンパク質を食べ始めるグループ。
  4. 植物性タンパク質を主に食べ、閉経後には動物性タンパク質を食べ始めるグループ。
結果
閉経を人為的に引き起こしてから34ヵ月後、一貫して大豆を食べ続けた2のグループのコレステロール値は良好でした。 動脈に高度なプラーク(*)が蓄積している割合についても、2のグループが格段に他のグループよりも低くなっていました。

(*) 「高度なプラーク」というのは "complicated plaque" を訳したものです。 辞書に訳語が見当たらなかったので、訳語は適当です。

Free Dictionary によると "complicated plaque" とは、「症状が進んだあるいは完成したアテローム性動脈硬化の病変部であって、次のうちの1つ以上に該当するものを言う: ①線維性斑の線維性被膜の部分が破裂している、またはこの部分に亀裂が入っている、②プラーク内に向けて出血が見られる、③壁在血栓が生じている、④顕著な繊維化(prominent fibrosis)が見られる」

閉経後に大豆を食べ始めた3のグループでも、コレステロール値は有意に改善(悪玉がコレステロールが減り、善玉が増える)していました。 ところが、コレステロール値が改善していたにも関わらず、アテローム性動脈硬化のプラーク(コレステロールもプラークの成分の1つ)の蓄積状況には(おそらく1のグループに比べて)有意と言えるほどの変化は見られませんでした。

ただし、閉経後からであっても大豆を食べ始める方が良いと思われます。 特に、閉経の時点で動脈硬化のプラークが大きくなっていない場合には、大豆に切り替えることによって動脈におけるプラークの進行が顕著に低減されていました。

ヒトに当てはめると
ヒトでも今回と同じ結果になるとすれば、次のような感じでしょうか:
  • 生まれたときから大豆を食べている女性(例えば、日本で生まれ育った女性)では、動脈硬化のリスクが低下する。
  • 更年期後に西洋型の食事に移行して大豆を食べなくなった女性(例えば、中年以降に北米に移住した日本人女性)では、大豆による動脈硬化抑制効果は失われて、動脈硬化のリスクが生まれたときから西洋型の食事をしていた女性と同程度になる。
  • 更年期後に大豆を食べるようになった女性では、更年期までに動脈硬化がさほど進行していなかった場合にのみ大豆の動脈硬化抑制効果が現れる。
コメント
北米閉経学会("Menopause" 誌の発行元)の事務局長を務める研究者は次のような主旨のことを述べています:
「この研究から、閉経後の心血管(心臓と血管)の健康にとって、閉経前に生活習慣の改善を開始しておくことが大切であることがわかります」