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妊娠中に大気汚染物質(PAH)に暴露すると、生まれる子供の ADHD リスクが増加

(2014年11月) "PLOS ONE" に掲載されたコロンビア大学の研究で、胎児のときに多環芳香族炭化水素(PAH)に暴露した子供は9才のときに注意欠陥・多動性障害(ADHD)であるリスクが増加するという結果になりました。
多環芳香族炭化水素(PAH)

PAHは有害な大気汚染物質であり、ディーゼルエンジンの排気ガスや、化石燃料を用いる火力発電所や暖房器具の排ガス、焚き火の煙、タバコの副流煙、肉を焼いたときの煙、焼け焦げた食品などに含まれています。 発ガン性があります。

PAHは胎盤を容易に通過して胎児の脳に影響します。 予備的な動物研究では胎児のときにPAHに暴露することによって行動・学習・記憶の発達に支障が生じることが示されています。
今回の研究では、ニューヨーク市に在住の喫煙習慣が無い妊婦233人と、この妊婦たちから生まれた子供を追跡調査しました。

その結果、妊娠中に大量の PAH に暴露された母親から生まれた子供は、ADHD(特に、注意欠陥を主とする ADHD)に特徴的な症状の数および程度が通常以上となるリスクが、妊娠中に大量の PAH に暴露されなかった母親から生まれた子供の5倍となっていました。

母親の PAH 暴露量は、出産時に採取した血液サンプル中の PAH-DNA 付加体を用いて測定しました。 子供の PAH 暴露量は、子供が3~5才のときの尿に含まれる PAH 代謝物を用いて測定しました。 ADHD 症状の評価には Conners' Parent Rating Scale を用いました。

研究者は次のように述べています:
「今回の結果から、ニューヨーク市の大気に含まれる PAH への暴露が子供の ADHD に関与している可能性が示唆されます。 ADHD は学業成績や、人間関係、仕事の成績に悪影響を与えることが知られています」
研究グループが過去に行った複数の研究では、妊娠中に PAH に暴露することによって、生まれる子供の3才時の発達具合、5才時の IQ、および6~7才時の不安感/鬱症状/注意欠陥のリスクに悪影響を及ぼすことが示されています。

PAH によって ADHD のリスクが増加するメカニズムは完全には解明されていませんが、PAH によるホルモン系の撹乱、DNA の損傷、酸化ストレス、および胎盤成長因子が干渉を受けることに起因する酸素・栄養の(母子間の)交換量減少などが可能性として挙げられています。