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妊娠中のビタミンA不足で生後に子供が喘息になる理由

(2014年2月) "Journal of Clinical Investigation" に掲載されたコロンビア大学の研究(マウス実験)で、妊娠中のビタミンA不足によって生まれる子供が喘息になるリスクが増加する理由が明らかにされました。

理由

胎内で肺が形成されている時期にビタミンAが短期的に不足することによって気道を取り囲む平滑筋に異常が生じ、それが原因となって成人後に環境的あるいは薬物による刺激に反応して気道が過剰に狭くなる体質になるのだと考えられます。

過去の複数の研究で、肺の正常な発達にレチノイン酸(ビタミンAが体内で変換されてできる物質)が必要であることは示されていましたが、レチノイン酸の欠乏が気道の機能に影響する理由はほとんどわかっていませんでした。

炎症がなくても
今回の研究では、気道における構造的・機能的な変化が炎症が存在しない場合にも生じることも示されました。 この点について研究者は次のように述べています:
「喘息などのように過剰反応を特徴とする肺疾患にとって炎症が重要であることに変わりはありませんが、この発見は、喘息の要因が複数であって、炎症以外に構造的要因も無視できないことを示しています」
研究の概要
実験①

母マウスの食事を通じて胎児に届くビタミンAの量とタイミングをコントロールするという実験で、胎児の気道が発達する時期に当たる妊娠中期に胎児のビタミンAが欠乏するようにしたところ、ビタミンAが欠乏した胎児では、対照群に比べて、気道に平滑筋が過剰に形成されていました。

実験②

さらに別の実験で、胎児のときに(同じく妊娠中期に)一時的にビタミンAを不足させた後に、ビタミンAの欠乏を解消させ、さらに出生後にもビタミンAを普通に与えてみたところ、このマウスは一見普通に見えました(ビタミンA欠乏による障害は見られなかった)が、肺の機能を試験すると、肺には明確な異常が見られました。 メタコリン(分泌物と平滑筋活動を刺激する副交感神経作動薬)を用いた試験で、対照群よりも気道の収縮が激しかったのです。

実験③

そして、さらにさらに別の実験により、レチノイン酸が主として気管支が枝分かれして発達していく場所で用いられていることがわかりました。 新しい気管支は形成時に平滑筋に囲まれますが、レチノイン酸のシグナル伝達がこの平滑筋の発達を一時的に阻害することによって、平滑筋の早熟で過剰な形成が阻止されていたのです。 レチノイン酸が存在しないためにレチノイン酸の信号伝達が途絶してしまい、平滑筋が過剰に発達していたというわけです。

ビタミンA不足

ビタミンA不足は主に発展途上国で問題となります(先進国ではあまり心配が無いということでしょう)。 さらに、ビタミンAを妊娠中に過剰摂取すると胎児に奇形が生じる恐れがあります。 妊娠中のビタミンA不足が心配な場合には、過剰摂取の心配がないβ-カロテン(β-カロテンは体内の必要性に応じてビタミンAに変わる)の形で摂取すると良いそうです。

β-カロテンは人参・ほうれん草・かぼちゃなどの緑黄色野菜に豊富に含まれています。