狂牛病などの原因となるプリオンが植物経由で他の動物に感染?

(2015年5月) "Cell Reports" 誌オンライン版に掲載されたテキサス大学の研究で、ヒメカモジグサというイネ科の植物がプリオンと呼ばれる感染性物質を土壌から吸収し、その植物を食べたハムスターにプリオンが感染するという結果になりました。 出典: Grass Plants Can Transport Infectious Prions

プリオンとは
プリオンはタンパク質をベースとする物質で、伝達性海綿状脳症(プリオン病)と呼ばれる一群の病気の原因となります。 牛海綿状脳症(BSE、狂牛病)などの獣の脳の病気のほか、ヒトの病気であるクロイツフェルト・ヤコブ病がプリオン病です。 プリオン病はいずれも致命的な病気で、潜伏期間が何年にも及びます。 治療法は未だ確立されていません。
プリオンに関する補足

Wikipedia によると、プリオンは細菌などと違って生物ではなく、ミスフォールド(折り畳まれ方を間違った)タンパク質の分子です。 健康な生物の体にプリオンが入ると、プリオンは正常に折り畳まれているタンパク質をミスフォールド・タンパク質(プリオン)へと変えてしまいます。 そうして、新たにプリオンと化したタンパク質も他の正常なタンパク質を次々とプリオンへと変えてゆきます。

ヒトの病気であるクロイツフェルト・ヤコブ病の原因は、BSEの原因となるプリオンであると考えられています。 プリオンに感染した牛の肉を食べることにって牛のプリオンがヒトに感染する可能性があるのです。
研究者は次のように述べています:
「野生動物や植物からヒトへと(プリオンが)伝達されるという証拠はありません。 しかし、その可能性を警戒しておく必要はあります。 プリオンの潜伏期間は長いですから」
研究の方法

今回の研究では、プリオンに汚染された脳を材料とする肥料でヒメカモジグサを育て、その根と葉に感染性のプリオンが含有されているか否か、そしてそのプリオンに感染力があるか否かを調べました。

結果

肥料の濃度が極めて薄くてもプリオンがヒメカモジグサの根と葉に結合していました。 また、ハムスターにヒメカモジグサを与えたところ、ハムスターがプリオン病に感染しました。

さらに、プリオンに感染しているハムスターや鹿に尿や糞をかけられた植物からも感染性のプリオンタンパク質が検出されました。 プリオンに汚染された土壌から植物に吸い上げられたプリオンは、植物体の各所へと運ばれていました。

今回の結果から、プリオンによる環境汚染およびプリオン病の水平伝播に植物が深く関与している可能性が考えられます。

今後の予定
今回の研究は研究室の実験的な環境で行われたものでした。 研究チームは今後、自然環境での汚染について調べる予定です。