プロバイオティクスにアルツハイマー病患者の認知機能を改善する効果

(2016年11月) "Frontiers in Aging Neuroscience" 誌に掲載されたカーシャーン医科学大学(イラン)などの研究で、プロバイオティクスによりアルツハイマー病患者の認知機能が改善されるという結果になりました。

研究の方法
アルツハイマー病のために認知機能が大きく損なわれている60~95才の男女52人を2つのグループに分けて、一方のグループには4種類の有益な細菌(*)を含有する牛乳200mlを、そしてもう一方のグループには何も加えていない牛乳200mlを12週間にわたり1日1回飲んでもらいました。
(*) ラクトバチルス菌の仲間であるアシドフィルス菌・カゼイ菌・ファーメンタム菌と、ビフィズス菌。 1種類あたり4千億匹ほど。

12週間の前後に血液検査と認知機能のテストを行いました。 認知機能のテストの内容は、当日の日付を言う・100から7づつ数字を引き算する・モノの名前を言う・言われたフレーズを繰り返す・絵を真似て描くなどでした。

結果

プロバイオティクスを摂取しなかったグループの認知機能テストのスコア(30点満点)は、12週間の始めに行われたものが8.5点で、12週間の終わりに行われたものが8点でした。

これに対してプロバイオティクスを摂取したグループでは、当初8.7点だった認知機能テストのスコアが12週間後には10.6点にまで改善されていました。

認知機能以外の面でも有益
プロバイオティクスの摂取により、血中脂質・CRP(*)・インスリン抵抗性・β細胞(†)の活性も改善されていました。

(*) C反応性タンパク質。 炎症の指標。

(†) インスリンを生産する膵臓の細胞。
解説

腸内細菌や胃腸管は、神経系・免疫系・ホルモン類を介して脳と相互に影響しあっています。 したがって、プロバイオティクスにより認知機能が向上するのではないかと以前から考えられてきました。

さらにマウス実験で、プロバイオティクスの投与によって学習能力と記憶力が向上するほか、不安感や抑鬱などが軽減されることが示されています。

ルイジアナ州立大学の最近の研究では、アルツハイマー病患者では腸内細菌の種類構成が同年代の健常者と異なることが明らかにされています。