乳酸菌とブルーベリーは単独では血圧に良いが併用すると...?

(2015年11月) 乳酸菌などのプロバイオティクスとブルーベリーはそれぞれ高血圧の予防に良いとされています(*)が、 "PLOS ONE" に掲載されたアイダホ州立大学などの研究によると、ブルーベリーとプロバイオティクスを併用すると降圧効果が損なわれる可能性があります。
研究の背景
研究チームが過去に行った動物実験で、ポリフェノールを豊富に含むブルーベリーを高血圧のラットに与えることで収縮期(最高)血圧が下がるという結果になっていました。 そこで研究チームは次のように考えました:
「プロバイオティクスがブルーベリーに含まれるポリフェノールから生物活性を有する代謝物を生産してブルーベリーの健康効果を増幅させているのだから、ブルーベリーと同時にプロバイオティクスを与えることでブルーベリーの高血圧予防効果が増すのではないか?」
研究の方法
高血圧の雄ラットの一群を8匹ずつ次の4つのグループに分けました:
  1. 普通のエサを食べるグループ
  2. フリーズドライのブルーベリー(*)を3%の比率で含有するエサを食べるグループ
  3. プロバイオティクス(†)1%の比率で含有するエサを食べるグループ
  4. ブルーベリー(3%)とプロバイオティクス(1%)の両方を含有するエサを食べるグループ
(*) ワイルド・ブルーベリー(Vaccinium angustifolium)という小粒のブルーベリーが用いられました。 ワイルド・ブルーベリーにはポリフェノールやアントシアニンが栽培品種よりも豊富に含まれています。 ワイルド・ブルーベリーは人為的に植えられたり遺伝子改造されたりするのではなく、自然に育っているブルーベリーの木を維持管理して収穫されます。
(†) プロバイオティクスとして用いられたのは次の細菌をフリーズドライにした(しかし菌は生きている)ものを含有する大腸炎治療用のサプリメントでした:
  • Bifidobacterium breve(大腸の健康にとって重要なビフィズス菌)
  • Bifidobacterium longum(乳児の腸に多く大人の腸には少ないが様々な健康効果がある)
  • Bifidobacterium infantis(赤ちゃんの腸内に住むビフィズス菌)
  • Lactobacillus acidophilus(アシドフィルス菌)
  • Lactobacillus plantarum(発酵食品を作るのに利用される乳酸菌。腸の健康にとって有益となるほか、抑鬱の軽減にも効果が期待されている)
  • Lactobacillus paracasei(ヒトの腸内や口腔内に自然に存在する乳酸菌。 ヨーグルトの製造に利用されるが下水にも住んでいる)
  • Lactobacillus bulgaricus(古来よりヨーグルトの製造に用いられてきた菌)
  • Streptococcus thermophiles(古来よりヨーグルトの製造に用いられてきた菌)

試験期間は8週間で、2・4・6・8週目に血圧を測定し、4週目と8週目に尿検査により酸化ストレスのマーカー(F2-イソプロスタン)、一酸化窒素の合成のマーカー(亜硝酸塩)、およびポリフェノールの代謝のマーカー(馬尿酸)を測定しました。

結果

いずれのグループでも8週間のうちに高血圧が悪化して血圧が上がりました。 1のグループに比べて2~4のグループでは収縮期血圧と拡張期血圧ともに血圧の悪化が緩和される傾向にありましたが、肝心の4のグループで緩和幅が最も小さくなっていました。

1のグループに対する各グループの緩和幅は次の通りでした(数字は収縮期血圧、拡張期血圧の順):
  • 2のグループ: -75%と-67%
  • 3のグループ: -66%と-68%
  • 4のグループ: -45%と-55%
これらの数字のp値は、収縮期血圧では 0.074、拡張期血圧では 0.185 でした。

結論

ブルーベリーとプロバイオティクスを併用すると、ブルーベリーの降圧効果が増すどころか損なわれる可能性があります。

プロバイオティクスによりブルーベリーの降圧効果が損なわれる理由は不明ですが、ブルーベリーに含有されるポリフェノール類の吸収率・一酸化窒素の生産量・全身的な酸化ストレスにプロバイオティクスが影響するためではないと思われます。