前立腺ガンでは治療が不要なケースが少なくない

(2012年11月) "European Urology" 誌に掲載されたヨーテボリ大学(スェーデン)の研究によると、前立腺ガンの腫瘍は綿密に監視さえしていれば放射線治療も外科手術も不要かもしれません。 放射線治療や外科手術には、失禁などの副作用の出る可能性があります。

積極的な治療が良いとは限らない

前立腺ガンは最も進行の遅いガンの1つなので、症状を自覚せずに一生を終える男性が多くいます。 つまり、前立腺ガンでは、不要な治療を行ったために副作用に苦しむというケースも少なくないのです。

綿密な監視とは、定期的に血液検査と生体検査を受けて、腫瘍の進行具合を継続的に監視することをいいます。 そして、腫瘍が成長し始めたり、侵攻性が強まった場合にのみ外科手術や放射線治療を行うのです。

つまり、前立腺ガンの監視を行うことで、一生のうちに全く治療を行わずに済むか、あるいは少なくとも副作用を伴う治療を先延ばしにできるケースが少なからずあるというわけです。

研究の方法

この研究では、1995~2010年にかけて前立腺ガンの患者968人を対象に調査を行いました。 患者のうち440人が治療ではなく監視を選択しました。 968人の大部分は、リスク(侵攻性)の低い前立腺ガンでした。

結果
研究の結果は次の通りです:
  • 監視を選択した440人のうち60人が亡くなりましたが、前立腺ガンが死因であったのは1人だけだった。
  • 低リスクの腫瘍であると診断された男性のうち、転移性の前立腺ガンになった人や、ガンが原因で亡くなった人はいなかった。
  • 治療よりも監視を選んだ男性たちの63%が、追跡調査期間(15年間)のあいだ積極的な監視を継続した(外科手術などの治療をせずに済んだ)。
  • 同じく監視を選んだ男性たちの37%が、監視を断念して治療(外科手術、放射線治療、ホルモン療法)を行った。 治療をすることにした主な理由は、腫瘍が大きくなっていることが監視により明らかになったというもの。
  • 不安になるという理由で監視を中断した人は4人だった。
(低リスクと高リスクの)中間の腫瘍または高リスクの腫瘍では、治療をせずに監視を行うのはリスクが高くなります。 高リスクまたは中間型の前立腺ガンの患者では、低リスクの前立腺ガンの患者と比べて、腫瘍が治療できないガンになるリスクや末期のガンになるリスクは四倍です。