前立腺ガン治療用のアンドロゲン除去療法で腎不全のリスク

(2013年7月) "Journal of the American Medical Association" に掲載されたカナダの研究によると、前立腺ガンの治療に用いられるホルモン療法で腎不全のリスクが増加する可能性があります。

この研究で1万人以上の男性のデータを調査したところ、初期の前立腺ガンに対して用いられるアンドロゲン除去療法によって急性腎不全のリスクが3.5倍(250%増加)していたのです。
アンドロゲン除去療法
アンドロゲン除去療法は、薬物または手術によって男性ホルモンの分泌量を減少させることで、前立腺ガンの細胞が萎縮または鈍化することを狙うという治療法で、普通は進行した前立腺ガンに対して用いられます。 アンドロゲン除去療法は、過去の研究により、心臓発作のリスクが増加する可能性が示唆されています。

したがって前立腺ガンで死亡するリスクが少ない患者に対するアンドロゲン除去療法の使用には慎重であるべきですが、専門家によると、今回の研究にはデータが古いという欠点もあるため、さらに調査が必要です。

研究の方法

今回の研究では、1997~2008年に非転移性の前立腺ガンと診断された英国の男性 10,250人のデータを用いました。 これらの男性が急性腎不全で入院したかどうか、そして、その入院がホルモン療法による治療を受けている期間中またはその後であったどうかを追跡調査しました。

結果

その結果、アンドロゲン除去療法を受けた男性で急性腎不全のリスクが3.5倍になっていることが判明したのです。 このリスクは、アンドロゲン除去療法の中でも、複数のホルモン抑制手段によって男性ホルモンと女性ホルモンの分泌量を大幅に下げる完全アンドロゲン遮断療法(Combined androgen blockade)という治療法を受けた男性で特に増加していました。

研究者のコメント
研究者によると、男性モルモンも女性ホルモンも腎臓の機能に関与しており、アンドロゲン除去療法によって腎不全になるのは、そのせいだと考えられます。
「テストステロンもエストロゲンも、腎臓の機能にとって大切な役割を果たしていることが知られています。 テストステロンには血管拡張作用が、そしてエストロゲンには腎臓を損傷から保護する作用が、それぞれあると思われます」