やはり精神的なストレスで胃潰瘍・十二指腸潰瘍のリスクが増加する

(2016年12月) ピロリ菌(helicobacter pylori)が発見されてからというもの精神的なストレスと消化性潰瘍(胃・十二指腸に生じる潰瘍)との関係が疑問視されてきましたが、"BMC Gastroenterology" に掲載されたオールボー大学(デンマーク)の研究によると、精神的なストレスもやはり、胃腸に潰瘍が生じるリスクが増加する一因かもしれません。

研究の方法

デンマーク北部に住む男女1万7千人超うを対象にストレスに関するアンケート調査を実施し、その後33ヶ月間にわたって消化性潰瘍の発生状況を追跡調査しました。

ストレスの程度に応じてデータは5つのグループに分けられました。 医師に消化性潰瘍と診断された場合、またはピロリ菌を根絶するための三重治療(*)を受けた場合を「消化性潰瘍になった」とみなしました。

データの分析においては、年齢・性別・社会経済的状態(収入・職業・学歴など)・非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用・潰瘍の病歴・生活習慣などを考慮しました。

今回の研究ではピロリ菌感染の有無は考慮していませんが、ピロリ菌感染と精神的ストレスのあいだに関係があるとは考えにくいため、ピロリ菌感染者がデータ全体にわたり満遍なく存在していると想定しました。
"Clinical Gastroenterology and Hepatology" 誌(2015年)に掲載された類似研究では、ピロリ菌の感染状況も調べたうえで、ピロリ菌に感染しているか否かに関わらず精神的ストレスにより消化性潰瘍のリスクが増加するという結果になっています。 この 2015年の研究によると、ストレスが生活習慣が悪化するのが消化性潰瘍のリスク増加の一因だと思われます。
結果

追跡期間中に121人が消化性潰瘍になりました。 消化性潰瘍の累積罹患率が、精神的なストレスを感じることが最も少なかったグループでは約0.4%だったのに対して、ストレスが最も強かったグループでは約1.2%でした。

ストレスが最も強かったグループは、ストレスが最も少なかったグループに比べて消化性潰瘍の発症リスクが2.24倍であるという計算になります。

ストレスの程度が中程度だった残りの3つのグループについては、ストレスが最も少なかったグループとの間に統計学的に有意と言えるほどのリスクの違いが見られませんでした。