生きがいやストレスの有無は乳ガンの発症リスクに影響しない?

(2016年9月) "Scientific Reports" 誌に掲載された愛知医科大学などの研究によると、性格や精神的な状況は乳ガンの発症リスクに影響しないかもしれません。

研究の背景

研究チームの前回の研究では、決断力に富み、生きがいを持っている人は乳ガンになることが少ないという弱い可能性が示されました。 ただし他の研究では、心理学的な要因が乳ガンの発症リスクに影響することは明確には示されていません。

研究の方法
日本各地に住む40~79才の女性2万9千人を対象に、生きがい・怒りやすさ・精神的なストレス・決断力の程度(*)といった精神面に関するアンケートと生活習慣に関するアンケートを実施したのち、最長で21年間(平均12.8年間)にわたり追跡調査しました。
(*) 「生きがいを持っていますか?」「素早く決断できますか?」「すぐに腹を立てますか?」「日常的にストレスを感じますか?」という質問に「いいえ、どちらでもない、はい、まったくその通り」の4段階で回答する(決断力と立腹しやすさは「まったくその通り」を欠く3段階)。

データの分析においては、年齢・乳ガンの家族歴・ホルモン補充療法の使用・運動量・喫煙習慣・飲酒量・BMI・閉経した年齢などの要因を考慮しました。

結果

追跡期間中に発生した乳ガンの症例数は209件でした。 生きがい・怒りやすさ・精神的なストレス・決断力の程度のいずれについても、乳ガンの発症リスクとの間に関係が見られませんでした。

解説

ストレスや生きがいなどの精神的な状況は一生を通して固定されているわけではないため、追跡期間が長いと精神的な状況の変動によって乳ガンのリスクへの影響がかき消されてしまう可能性があります。 今回の研究と前回の研究で結果が異なるのは、そのためかもしれません(前回の研究は追跡期間が7~9年間と今回よりも短かった)。

今回の研究の弱点として研究チームは、4つの心理的項目に関するアンケートの精度が十分でなかった(各項目につき1つの質問しかしていない)ことや、4つの心理的項目を追跡開始時に一度尋ねただけでしかなかったことなどを挙げています。

結論としては「今回の研究では性格や精神的な状況と乳ガン発症リスクについての関係は未だよくわからないので今後の研究が必要だ」ということになります。