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リノール酸やDHAなどの不飽和脂肪酸と糖尿病のリスク

(2016年7月) "PLOS Medicine" に掲載されたケンブリッジ大学の研究(メタ分析)によると、多価不飽和脂肪酸(PUFA)(*)の種類によって血中濃度と2型糖尿病発症リスクとの関係が異なります。出典: Association of Plasma Phospholipid n-3 and n-6 Polyunsaturated Fatty Acids with Type 2 Diabetes...
(*) この研究においては、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸。 DHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸は魚に豊富に含まれています。 リノール酸などのオメガ6脂肪酸は植物性の食用油に多量に含まれています。
研究の方法
10年間ほどの追跡期間のうちに2型糖尿病を発症した患者1万2千人ほどと健常者1万6千人とで、11種類のPUFA(†)の血中濃度を比較しました。 データの分析においては、2型糖尿病の発症リスクに影響する様々な要因(*)を考慮しました。

(*) オメガ3脂肪酸が4種類で、オメガ6脂肪酸が7種類。

(†) 年齢・性別・BMI・運動量・社会経済的状態(収入・職業・学歴など)・生活習慣・健康状態。
結果
オメガ6脂肪酸

オメガ6脂肪酸のうちリノール酸は、血中濃度が高いと2型糖尿病になるリスクが20%(*)低いという結果でした。 また、リノール酸の血中濃度に応じてデータ全体を5つに分割して比較すると、リノール酸の血中濃度が最高のグループは最低のグループに比べて、2型糖尿病のリスクが46%低くなっていました。

一方、オメガ6脂肪酸のうちγリノレン酸(†)・ジホモγリノレン酸・ドコサテトラエン酸・オメガ6ドコサペンタエン酸の4種類では、血中濃度が高いと2型糖尿病のリスクが増加していました。 増加幅はそれぞれ、19%・46%・13%・14%(*)

(*) 血中濃度が標準偏差(SD)の数字分だけ増えるごとの変化。

(†) γリノレン酸は体内でリノール酸から作られるほか、麻実油や月見草オイルなどに含まれています。 7種類のオメガ6脂肪酸の体内での変換ルートは次の通り:

リノール酸 ⇒ γリノレン酸/エイコサジエン酸 ⇒ ジホモγリノレン酸 ⇒ アラキドン酸 ⇒ ドコサテトラエン酸 ⇒ オメガ6ドコサペンタエン酸
長鎖オメガ3脂肪酸
長鎖オメガ3脂肪酸(*)の血中濃度と2型糖尿病のリスクとの間にha 、ほぼ関係が見られませんでした(DPAでのみ少しリスクが減っていた)。 αリノレン酸(†)は、血中濃度が高いと2型糖尿病のリスクが7%低い(‡)という結果でした。

(*) 魚など動物性の食品に含まれるDHA・EPA・DPAの3種類。 DPAというのはドコサペンタエン酸のこと。 ドコサペンタエン酸にはオメガ3系のものとオメガ6系のものがあり、オメガ3DPAにはクルパノドン酸という別称が、オメガ6DPAはオスボンド酸という別称があります。 単に「DPA」と言う場合にはオメガ3DPAを指します。

(†) 短鎖オメガ3脂肪酸。 ALAは体内でDHAやEPAへと変換されますが、ALAに糖尿病予防の効果があるにしても、DHAやEPAに変換された後に効果を発揮するのではなく、ALAとして効果を発揮しているのだと思われます。 ALAがβ細胞のGタンパク質受容体に直接作用するなどしてインスリンの分泌を促している可能性があります。

(‡) 血中濃度が標準偏差(SD)で1増えるごとの変化。
メタ分析

この研究の一環として行われたメタ分析では、上記の結果とは違って、いずれのPUFAも2型糖尿病のリスクに影響しないという結果でした(リノール酸でリスクが下がる傾向は見られたが、統計学的な有意性が認められなかった)。

メタ分析では、PUFAと2型糖尿病の関係について欧州8ヶ国で調べた9つのコホート研究のデータを分析しました。 分析に用いられたデータに含まれる人数は11種類のPUFAごとに異なり、71人~2,499人でした。