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ピロリ菌とパーキンソン病の関係のまとめ (レビュー)

(2018年7月) 「ピロリ菌がパーキンソン病に関与しているのではないか?」という疑惑についてルイジアナ州立大学健康科学センターの研究グループがこれまでの研究をまとめた成果が "Journal of Parkinson's Disease" に掲載されています。

ピロリ菌について

ピロリ菌は感染者の一部において胃ガンや胃潰瘍の原因となります。 人類の50%以上がピロリ菌に感染していますが、感染者の90%は無症状です。

パーキンソン病とは

パーキンソン病は脳に異常が生じる神経変性疾患の一種で、この病気にかかると運動機能に異変が生じて震え・姿勢の不安定・硬直・動作緩慢などの症状を示します。

パーキンソン病患者では、運動機能に不全が生じるのに先立って胃腸症状が見られます。

仮説

パーキンソン病は遺伝子的な体質が原因であるケースもありますが、大部分のケースでは原因が不明で、環境的な要因に原因があるのではないかと疑われています。

そうしたパーキンソン病の環境的な要因の1つとして近年注目を集めているのがピロリ菌(Helicobacter pylori)です。

研究グループはピロリ菌(Helicobacter pylori)がパーキンソン病を助長する理由として以下の仮説を考えました:
  1. ピロリ菌が生産する毒素。
  2. ピロリ菌により腸内細菌叢に異常が生じる。
  3. (ピロリ菌がもたらす)局所的な炎症が脳腸軸(gut-brain axis)を経由して脳に神経炎症を引き起こす。
  4. ピロリ菌によりアミノ酸の一種である「レボドパ」の効果が損なわれる。 レボドパは動植物の体内で自然に生産される物質で、パーキンソン病の薬の成分でもある。

調査結果

ピロリ菌とパーキンソン病の関係を調べたこれまでの研究に目を通したところ、次の結果となりました:
  1. パーキンソン病の患者は非患者に比べて、ピロリ菌の感染率が1.5~3倍ほども高い。
  2. ピロリ菌に感染しているパーキンソン病患者は感染していない患者に比べて運動機能が低い。
  3. ピロリ菌に感染しているパーキンソン病患者からピロリ菌を除菌すると、除菌しなかった患者に比べて運動機能が改善される。
  4. ピロリ菌に感染しているパーキンソン病患者からピロリ菌を除菌すると、除菌しなかった患者に比べてレボドパの吸収効率が改善する。
ピロリ菌とパーキンソン病の関係を示すデータは増えつつありますが、両者がどのように関係しているのか未だ不明です。