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合成ピレスロイド系殺虫剤がADHDのリスク要因である可能性

(2015年1月) "Journal of the Federation of American Societies for Experimental Biology" に掲載されたラトガース大学(米国)などの研究によると、妊娠中に合成ピレスロイド系殺虫剤であるデルタメトリンに暴露すると、生まれる子供が注意欠陥・多動性障害(ADHD)になるリスクが増加するかもしれません。

合成ピレスロイド系の殺虫剤は毒性が穏やかであるために、ゴルフコースや、家庭、庭、芝生、畑、などでも使われています。 蚊取り線香の有効成分も合成ピレスロイド(アレスリン)です。
デルタメトリンの用途
国立医薬品食品衛生研究所の「環境保健クライテリア 97」(http://www.nihs.go.jp/hse/ehc/sum2/ehc097/ehc097.html がリンク切れ)によると、デルタメトリンは農薬として使われる以外に、動物用医薬品・害虫駆除・公衆衛生などにも使用されています。
マウス実験

この研究で行われたマウス実験において、妊娠中および授乳中にデルタメトリンに暴露したマウスの子供は、ADHDの複数の兆候、すなわち、多動や、ワーキング・メモリー(の機能不全?)、注意欠陥、衝動性、脳におけるドーパミン(感情表現と認知機能に深く関与する)のシグナル伝達の機能不全などを示しました。

子マウスのADHDの兆候は、ヒトの子供の場合と同様に、雌よりも雄のマウスに強く見られました。 そして、体内からデルタメトリンが排除された後にも、子マウスのADHD的な振る舞いは一生のあいだ治りませんでした。

ヒトを対象とする研究

研究チームさらに、2,123人の青少年の尿検査(ピレスロイドの暴露量を調べるため)の結果とADHDの有無を照らし合わせて、合成ピレスロイド系殺虫剤への体内量とADHDの有無との関係を調べました。

その結果、尿から検出された合成ピレスロイド系殺虫剤の代謝物の量が多い子供は、ADHDと診断される率が2倍超でした。

結論

マウスとヒトを対象に行われたこれらの研究の結果から、デルタメトリンなどの合成ピレスロイド系殺虫剤はADHDのリスク要因である可能性があります。

ADHDの発症には遺伝子的な要因が関与していると思われますが、ADHDの原因となる遺伝子はまだ見つかっておらず、(化学物質などの)環境的な要因もADHDの発症に関与しているのではないかと考えられています。