ピルビン酸塩で脳のエネルギー不足を解消

(2016年3月) "Frontiers in Aging Neuroscience" 誌に掲載された東フィンランド大学の研究によると、ピルビン酸塩と呼ばれる物質により脳に蓄えられるエネルギーを増やすことが出来るかもしれません。 ピルビン酸塩はサプリメントも市販もされています。

脳には大量のエネルギーが必要

ヒトの脳は大量のエネルギーを必要とします。 体全体で使用されるエネルギーの実に20~30%が脳で使われているのです。

ところが、老化・神経変性疾患(*)・精神障害(†)・生理学的なストレスなどにより、脳に供給される糖(エネルギー源)の量が減ってしまうことがあります。 そうすると脳がエネルギー不足に陥って記憶力などの認知機能が衰えます。

(*) アルツハイマー病やパーキンソン病など。

(†) 鬱病や不安感などのことでしょう。
今回の研究
今回の研究ではマウス実験において、長期間にわたりピルビン酸塩をエサに混ぜて毎日与えることで脳に貯蓄されるエネルギー(*)の量を増やすことに成功しました。
(*) グリコーゲン・乳酸塩・クレアチンという形態で蓄えられる。

さらに、ピルビン酸塩を与えられた生後6~12ヶ月の(ヒトの中年に相当する)マウスは行動が活発になりました。 見知らぬマウスの匂いにいっそうの興味を示したり、あちこちを探索したりするようになったのです。 ピルビン酸塩を与えたマウスは、筋力や持久力に変化はありませんでしたが、空間学習能力が促進されていました。

アルツハイマー病の患者にも有益?
アルツハイマー病と同様の症状(*)が生じるように遺伝子を改造されたマウスにピルビン酸塩を与えたところ、普通のマウスに与えたときと同様のポジティブな効果が見られました。
(*) 脳におけるタンパク質のプラークの蓄積、神経変性、認知機能の低下など。
ピルビン酸塩の摂取量

マウスの実験で用いられたピルビン酸塩の量は1日あたり800mgほどでした。 この量をヒトの摂取量に換算すると、10g/日程度になります。 マウス実験での投与期間は2.5~6ヶ月でした。

大量のピルビン酸塩をマウスの血流中に一度だけ注射しても効果は見られませんでした。

解説
ピルビン酸塩のサプリメントは、高齢・神経変性疾患・精神障害による認知機能の低下を軽減するうえで有益であるかもしれません。 副作用の心配も無いと思われます。 しかし、ヒトでも今回の研究と同じ結果になるかどうかを今後の研究で調べる必要があります。