(2012年10月) "Journal of the American College of Cardiology" に掲載された英国の研究によると、ティーンエイジャーの頃に喫煙していた人は中年以前に禁煙した人でも心臓病で死ぬリスクが増えます。 ただし禁煙しない場合よりはマシで、禁煙しない場合には(喫煙経験の無い男性と比べて)早死にのリスクが二倍になります。
研究者によると、喫煙により増加する早死にのリスクは累積的です。 つまり、禁煙によって過去の喫煙による健康被害を取り消すことはできないけれども、禁煙するのがどれだけ遅くても、禁煙しないよりはマシということです。
研究の方法
1916~1950年の間にハーバード大学に入学し、大学の健康診断で喫煙者であると答えた男性 28,000人のデータを分析しました。 このうち1万人が大学生のときに喫煙していました。 平均53年間の追跡調査期間のあいだに、28,000人のうちの半数近くが死亡しています。
結果
大学の健康診断と、その後の追跡調査のアンケートの両方で喫煙者であった(つまり禁煙をしなかった)グループは、喫煙経験の無いグループに比べて早死にのリスクが二倍になっていました(100%の増加)。 その一方で、ティーンエイジャーの時点で喫煙していたけれど後に禁煙したというグループでは、早死にのリスクの増加は29%に留まりました。
早死にの原因としてリスク増加が顕著だったのは、心臓病と喫煙に起因するガンでした。
解説
研究者によると、禁煙するのに遅すぎるということはなく禁煙をいつ始めて必ずプラスになりますが、禁煙の成功率は非常に低く3%ほどでしかありません。
この研究に関与していない研究者の話によると禁煙とは、①鋼のような精神力②優秀な禁煙計画を立案し遂行する知性と実行力③禁煙グッズに頼ることを躊躇わない器の大きさが要求される非常に難易度の高いタスクです。 この研究者は「禁煙に成功するというのは優秀な人間であることの証明だ」とまで言っています。