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適切な禁煙方法はニコチン代謝速度によって異なる

(2015年1月) "Lancet Respiratory Medicine" 誌オンライン版に掲載されたペンシルバニア大学などの研究によると、ニコチンの代謝速度が普通の人には禁煙補助薬が適しており、ニコチンの代謝速度が遅い人にはニコチン・パッチが適しています。 ニコチンの代謝速度が遅い人の場合、禁煙補助薬も効果はありますが、ニコチン・パッチよりも副作用が強い禁煙補助薬をわざわざ使用する必要は無いというわけです。

ニコチン代謝速度とは、禁煙開始後に体内のニコチンがどれくらいの時間で消滅するかということです。 ニコチン代謝速度が遅い人に比べて代謝速度が普通の人は、体内のニコチン量がすぐに減少するために喫煙欲求が生じるまでの期間が短くなりますが、その一方でこういう人にはバレニクリン(商品名: チャンピックス、チャンティックス)などの禁煙補助薬が効果的です。 禁煙補助薬は、ドーパミンという快楽物質の分泌量を増加させることによってニコチン欲求を抑えます。

研究の方法

この研究(無作為化試験)では、1,246人の喫煙者(ニコチン代謝速度が遅い人は662人、速い人は584人)を次の3つのグループに分け、11週間にわたってそれぞれの禁煙治療(に加えて禁煙カウンセリング)を続けてもらいました:

  1. ニコチン・パッチ&プラシーボの禁煙補助薬
  2. 禁煙補助薬&プラシーボのニコチン・パッチ
  3. プラシーボの禁煙補助薬&プラシーボのニコチン・パッチ
ニコチン代謝速度は、治療開始から7日以内に血液検査を行うことで判定しました。 判定に用いられたのは、ニコチンが代謝されることによって生じる3-ヒドロキシコチニンおよびコチニン(*)という2種類の物質の血中量です。
(*) 「3-ヒドロキシコチニン」と「コチニン」は原文ではそれぞれ、"3'hydroxycotine" と "cotine" となっていますが、正しくは "3'hydroxycotinine" "cotinine" なのだろうと判断しました。

この2種類のニコチン代謝物の血中量から CYP2A6 という肝臓の酵素の活性を知ることができます。 CYP2A6 はニコチンとコチニンの代謝を行う主要な酵素です。

結果

11週間の治療期間が終了した時点で被験者の禁煙状態を調べたところ、ニコチン代謝速度が通常の人たちでは、2のグループの40%近くで禁煙が続いていたのに対して、1のグループでは22%しか喫煙できていませんでした。 (そして、原文には記載がありませんが、ニコチン代謝速度が遅い人たちでは、2のグループと1のグループとで禁煙が続いていた率が同程度だったのでしょう)

この結果により、ニコチン代謝速度が普通の人ではニコチン・パッチよりも禁煙補助薬が有効であるが、ニコチン代謝速度が遅い人ではどちらも同程度に有効であることが示されました。
過去の研究で、7日間禁煙を続けることができれば、その後半年間は禁煙を続けられる可能性が高いことが示されています。

しかしながら、ニコチン代謝速度が遅い人たちでは(おそらく禁煙補助薬の)副作用を訴える人が多くいたことから、ニコチン代謝速度が遅い人は禁煙補助薬よりもニコチン・パッチの方が適していると思われます。

試験から半年後および1年後に実施された追跡調査では全体的に禁煙率が下がっていましたが、それでも治療方法による禁煙成功率の差は維持されていました。(ニコチン代謝速度が通常の人ではニコチン・パッチよりも禁煙補助薬を用いた場合に禁煙を続けられていることが多く、ニコチン代謝速度が遅い人では同程度の禁煙成功率)