急速交代型の双極性障害では抗鬱剤が逆効果に

(2015年9月) "Journal of Affective Disorders" に掲載されたルイビル大学(米国)などの研究で、急速交代型(*)の双極性障害(躁鬱病)の患者では抗鬱剤の服用継続により抑鬱の頻度と気分交代が悪化するという結果になりました。出典: Antidepressants Shown to Worsen Depression in Patients with Rapid-Cycling Bipolar Disorder
(*) 双極性障害のうち躁状態と抑鬱状態との交代サイクルが早いもの。12ヶ月間のうちにエピソード(鬱状態や躁状態が生じている期間)が4回以上生じる双極性障害が急速交代型とみなされます。
研究の方法

急速交代型の双極性障害の患者68人を被験者として、抗鬱剤の作用を調べるランダム化比較試験を行いました。 被験者たちが処方されたのは標準的な気分安定薬でした。

結果

大うつ病エピソードの当初の治療ののち抗鬱剤の服用を中止したグループに比べて、抗鬱剤を服用し続けたグループでは翌年の抑鬱エピソードの発生回数がの3倍になっていました。

試験期間中に躁および鬱の状態が生じていない時期が占める割合も、抗鬱剤を服用し続けたグループで52%だったのに対して、抗鬱剤の服用を中止したグループでは64%でした。

補足

双極性障害の患者が抗鬱剤を長期間にわたって服用すべきか否かについては医師や研究者の間で議論が続けられています。 今回の研究者が過去に行った複数の研究でも、抗鬱剤の長期服用が逆効果になるという結果や、服用を中止することで症状が改善されるという結果になっています。

研究者は次のように述べています:
「抗鬱剤は有益な薬ですし、初めての患者の治療を開始する時点ではその患者の双極性障害が急速交代型かどうかはわかりません。 しかし、急速交代型であることが判明しているのであれば、抗鬱剤は躁状態・気分交代・鬱状態を悪化させると思われるため使用を控えるのが良いでしょう」