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レイノー病とは

レイノー病(Raynaud's disease)とは、低温やストレスが原因で、指・爪先・鼻・耳などの体の末端部分が冷えて、感覚が無くなってしまう病気のことです。 単に指先や爪先が寒さでかじかむというのとは違いますし、霜焼けとも異なります。 霜焼けが血行不良による炎症であるのに対して、レイノー病では、皮膚に血液を供給する微小動脈群が収縮して、患部への血液供給の量が減少します。

レイノー病は男性よりも女性に多く、また寒い地域に住む人によく見られます。 大部分のケースではレイノー病は、不快感の原因となるだけで深刻な状態にまでは至りません。

症状
レイノー病の兆候や症状は、この病気の原因となる血管の痙攣が起こる頻度、持続時間、および程度によって異なりますが、一般的には次のようなものです:
  • 手の指や爪先(つまさき)の冷え。 そう寒くないのに手や爪先が冷たい。 周囲の人たちの手足が冷たくないときに自分だけ冷たい。
  • 冷凍庫内の凍った食品を扱うだけでも手袋が必要だ。
  • 寒さやストレスに反応して皮膚の色が連続的に変化する。
  • 患部の感覚が無くなる。 温めたり、ストレスから開放されると指すような痛みの後に症状が治まる。

レイノー病の発作が生じている間、患部の皮膚の色がまず真っ白になります。 そして、患部が冷え切って感覚が無くなりますが、このときに皮膚が青色になることがあります。 患部を温めるなどして血行が改善されると、今度は皮膚が赤色になり、痛みや、ジンジンするような感じがした後に症状が治まります。 この「白色→青色→赤色」という皮膚の色の変化の有無、あるいは色の順番には個人差があります。

レイノー病の発作が起きる箇所は常に同じであるとは限りません。 また、手の指先や足の爪先だけに起きるとも限らず、鼻や、唇、耳、乳首などに起こることもあります。 発作の持続時間は1分~数時間程度ですが、温めるまで治らないという人もいます。

レイノー病が重症である場合、あるいはレイノー病の患部に潰瘍や感染症が見られる場合には医師の診察が必要です。

合併症

滅多にないことですが、重度のレイノー病で手の指や爪先への血流が(一時的にではなく)恒久的に減少してしまうと、手の指や爪先が変形します。

また、患部へ血液を運ぶ動脈が完全に閉塞してしまうと、びらん(潰瘍)や壊疽(えそ。細胞の死滅)が生じることがあります。 これらを治療せずに放置しておくと、患部の切断が必要となることもあります。

原因

レイノー病の原因は完全には解明されていませんが、手や足などの血管が低温やストレスに対して過剰に反応するのが原因で発作が起こるようです。

体が寒気にさらされると、体の末端部分(指先や耳など)から熱が奪われます。 そうすると、体は体の中心部の熱が奪われないように、末端部分の皮下に存在する微小動脈群を収縮させることで、末端部分へ血液を供給するペースを遅くします。 レイノー病の患者では、この微小動脈群の収縮が過剰に行われています。 レイノー病の原因がストレスである場合にも、低温による場合と同様の現象が起こっています。

血管の痙攣

レイノー病では、指や爪先などの動脈が血管痙攣(けいれん)を起こします。 血管痙攣が起きると、血管は劇的に縮小して、一時的に血液の供給が制限されてしまいます。 さらに場合によっては、時間の経過によって痙攣を起こした動脈がわずかに厚みを増し、これによって血流がさらに抑圧されることもあります。 そうなると、血流不足によって患部の肌の色から血色が失われ、黒ずんで見えます。 血管痙攣が治まって血流が回復するとき、肌が通常の色に戻る前に、一時的に赤色になることがあります。

血管の痙攣(レイノー病の発作)は、冬の冷たい水道水の流水で手を洗う、冷凍庫から何かを取り出す、寒い屋外に出るなど、ごくありふれた低温との接触でも引き起こされます。 そして、人によっては、寒さ以外に心理的なストレスも血管の痙攣が起こるきっかけとなります。
レイノー病になりやすい人
  • 性別 - レイノー病は男性より女性に多く起こります。 レイノー病の患者の割合は(米国の場合)、男性では3~12.5%、女性では6~20%だと考えられています(数値に幅があるのは複数の研究に基づく数字のため)。
  • 年齢 - レイノー病は年齢に関わらず発症しますが、初めてのレイノー病の発作を15~30才の若いうちに経験するケースが多いです。 女性の場合、原発性レイノー病(後述)患者の75%が15~40才のときにレイノー病と診断されています。
  • 気候 - レイノー病は寒い地域に住む人に多い病気です。
  • 家族歴 - レイノー病には遺伝的な要因もあるようです。 レイノー病の患者の1/3は、第一度近親者(親・兄弟・子供)が同じくレイノー病の患者です。
原発性レイノー病と二次性レイノー病

レイノー病には原発性のものと二次性のものがあります。 二次性レイノー病とは、他の何らかの疾患や身体の問題が血管痙攣の原因となっているものを言い、「レイノー現象」とも呼ばれます。 二次性レイノー病は、症状や兆候が出るのが遅い傾向にあり、40才以降に症状が出るのが一般的です。

一方、原発性レイノー病とは、そのような疾患や問題によらずに血管痙攣が起こるものを言います。 レイノー病は原発性であるケースが大部分ですが、二次性の方が症状が深刻になりがちです。

レイノー現象(二次性レイノー病)の一般的な原因には次のようなものがあります:
  • 関節リウマチ
    レイノー現象が関節リウマチの初期の兆候であることがあります。
  • 動脈の病気
    アテローム性動脈硬化(血管の内側にプラークが蓄積する病気)やバージャー病(手や足の血管が炎症を起こす病気)などの血管疾患が原因でレイノー現象が起こることがあるほか、レイノー現象の原因が原発性肺高血圧症である可能性もあります。
  • 手根管症候群
    手根管とは手首に存在する細い管のことで、この管の中には手につながる主要な神経が通っています。 手根管症候群とは、この主要な経路に圧力がかかるのが原因で手の感覚が失われたり、手に痛みを感じたりする病気です。 手根管症候群に侵された手は、低温に弱くなるためレイノー現象が起こりやすくなります。
  • 酷使による損傷
    同じ動作の繰り返しによって手や足の神経が損傷している場合にも、レイノー現象が起こることがあります。 例えば、キーボードのタイピングやピアノ演奏を長期間続けている人でレイノー現象が起きるリスクが増加します。 また、振動の強い工作機械(削岩機など)を使用する人がかかる「白蝋病(VWF)」もレイノー現象の一種です。
  • 喫煙
    喫煙によって血管が収縮するため、レイノー現象が起こりやすくなります。
  • 外傷
    手や足の過去の骨折、手術、霜焼けもレイノー現象の原因となることがあります。
  • 薬の服用
    β遮断薬(高血圧の薬)や、エルゴタミンという偏頭痛の薬、抗がん剤、血管収縮作用を持つ市販の風邪薬などもレイノー現象の原因となることがあります。
  • 化学物質
    プラスチック工場で働く人など、塩化ビニールへの暴露がある人は皮膚硬化症になることがありますが、皮膚硬化症の症状の一部としてレイノー現象が現れることがあります。
  • 甲状腺疾患
    甲状腺疾患もレイノー現象との関連が指摘されています。
レイノー病の予防

レイノー病の予防ではまず、手袋や厚手の靴下などを用いて手足を保温することを心掛けますが、それ以外にも以下を実践することでレイノー病の発作が起こるリスクを低減できます:

禁煙する

タバコを吸うと血管が収縮して皮膚温度が下がりますが、これがレイノー病の発作を引き起こしかねません。 副流煙による受動喫煙(二次喫煙)も同様です。

運動する

特に原発性レイノー病には運動が有効です。 運動によって血液の循環が促進されるためです。

ストレスを管理する

ストレスもレイノー病の引き金となるため、ストレスの原因となる状況を認識し、対処することでレイノー病の発作の頻度を減らすことが出来ると考えられます。

カフェインを控える

カフェインにも血管を収縮させる作用があるため、レイノー病の兆候や症状が増加する可能性があります。

手や足の血行に気を使う

手や足の血行を損なうような、きつい靴下・腕輪・指輪などを使わないようにしましょう。

サプリメント

オメガ3脂肪酸には寒さに対する耐性を付けて、血管の収縮を遅らせる作用があります。 銀杏エキスもレイノー病の発作の頻度を下げるのに有効かもしれません。

ただし服用中の薬がある場合には、サプリメントが薬の効果に干渉する可能性があります。 サプリメントの服用を開始する前には、必ず医師に相談しましょう。

レイノー病になったら
レイノー病の発作が起きたとき最も大切なのは、患部を温めることです。 次のような方法で温めると良いでしょう:
  • 暖かい場所に移動する。
  • 患部が手の場合、腋(わき)の下に入れて温める。
  • 患部の指先や爪先をくねくねと動かして血行を促進する。
  • 両腕をぐるぐる回して血行を促進する
  • 患部に暖かいお湯をかける(熱いお湯は禁物)。
  • 患部をマッサージする。
  • ストレスが原因で発作が起きている場合には、ストレスの現場から立ち去ってリラックスする。
医師による治療

レイノー病が重症であるときには、カルシウムチャネル遮断薬や、α受容体遮断薬、血管拡張剤などの薬を処方したり、注射を打ったり、血管の拡張/収縮を支配している神経を切断する手術をしたりすることもあります。