歯の残り本数が少ないと心筋梗塞のリスクが増加

(2015年5月) "PLOS ONE" に掲載された German Institute of Human Nutrition(ドイツ)などの研究で、歯(義歯ではない自然歯)の残り本数が少ないと心筋梗塞のリスクが増加するという結果になりました。
Oluwagbemigun K, Dietrich T, Pischon N, Bergmann M, Boeing H (2015) Association between Number of Teeth and Chronic Systemic Diseases: A Cohort Study Followed for 13 Years. PLoS ONE 10(5): e0123879. doi:10.1371/journal.pone.0123879 (Licensed under CC BY 4.0)
研究の方法

この研究では35~64才のドイツ人 24,313人(女性 14,953人、男性 9,360人)を13年間にわたり追跡調査し、歯の残り本数と心筋梗塞、脳卒中、2型糖尿病、ガンのリスクとの関係を調べました。

歯の残り本数は各自の自己申告によりました。 歯の残り本数に応じてデータ全体を次の5つのグループに分けました:

  1. 0本のグループ
  2. 1~17本のグループ
  3. 18~23本のグループ
  4. 24~27本のグループ
  5. 28~32本のグループ
結果
歯の数が少ない人の特徴

歯の残り本数の中央値は25本でした。 歯の残り本数が少ない人には次のような傾向が見られました: 比較的高齢である、喫煙者である、飲酒量は少ない、運動量が少ない、教育水準が低い、単純労働者である、全粒穀物をあまり食べない、閉経後にホルモン補充療法を受けない。

心筋梗塞のリスクのみ有意に増加

歯の残り本数が多いほど心筋梗塞のリスクが減っており、残り本数が28~32本のグループに比べたときの心筋梗塞のリスクが、残り本数が18~23本のグループでは1.76倍、残り本数が0本のグループでは2.93倍でした。(歯の残り本数が1~17本のグループでは0.9倍とむしろ減少していた)

脳卒中と歯の残り本数との関係は統計学的に有意と言えるほどではありませんでした。 2型糖尿病およびガンと歯の残り本数とのあいだにも関係が見られませんでした。

これらの結果は、年齢・性別・BMI・教育水準・職業・飲酒量・喫煙習慣・運動量・サプリメントの使用習慣などの要因を考慮したうえでのものです。

考えられる理由
歯の数が少ない人に心筋梗塞が多い理由として、研究チームは次のような可能性を考えています:
  • 口腔内の病原菌および病原菌の生産物が血流に乗って全身にまわり、心筋梗塞を促進する物質を増加させる。
  • 歯が失われる原因となる口腔細菌バランスの乱れにより全身的に自己抗体が生じ、それによって心機能不全が促進される。
  • 遺伝子上の問題。 遺伝子変異が原因で口腔内の病原菌を認識・駆逐できない、炎症が生じやすいなど。