SirT1 経路とは別にレスベラトロールが効果を発揮する経路を新たに発見

(2014年12月) "Nature" 誌オンライン版に掲載された The Scripps Research Institute の研究により、レスベラトロールが効果を発揮する経路が新たに見つかりました。

レスベラトロールが SirT1 という寿命に関与する遺伝子を活性化させることによって健康効果を発揮するという考えは、特に、効果を発揮するのに甚大な量が必要になるという観点から、近年の研究で疑問視されるようになっていますが、今回見つかった経路は SirT1 経路の場合よりも遥かに低用量で活性化します。

TyrRS ⇒ PARP-1 経路

今回の研究ではマウスにレスベラトロールを注射するという実験を行って、レスベラトロールが (チロシンというアミノ酸を模倣して)TyrRS という酵素に結合することによって、TyrRS がストレスを受けたときと同じように細胞核へと移動し、そこで PARP-1 という酵素を活性化させることが確認されました。 PARP-1 は DNA修復機能を有し、寿命にも関与すると考えられています。

さらに、PARP-1 が活性化することで、p53 と呼ばれる腫瘍抑制遺伝子や、長寿に関与する遺伝子である FOXO3A および SIRT6 などの保護的な遺伝子群が活性化していました。

レスベラトロールの必要量

TyrRS ⇒ PARP-1 という経路の活性化に必要なレスベラトロールの量は、レスベラトロールの効果を調べたこれまでの著名な研究(SIRT1 を対象とする研究も含む)で用いられた量の千分の1程度という少量でした。

今回の結果から、1日に赤ワイン(レスベラトロールを豊富に含む)をグラスに2~3杯飲むだけで TyrRS ⇒ PARP-1 経路を活性化させて健康効果を得るのに十分な量のレスベラトロールを摂ることが出来ると考えられます。

研究グループは、TyrRS の働きが動物と植物とでそう違わないために、植物由来のタンパク質であるレスベラトロールがヒトの細胞においても効力を発揮するのではないかと考えています。 TyrRS は動物と植物が分化した数億年前から(動物においても植物においても)あまり変化していません。

研究グループによると、レスベラトロールと同じようにアミノ酸を模倣する(ことによって健康効果を発揮する)物質が他にもまだまだ存在すると思われます。