糖尿病治療薬ロシグリタゾンで骨髄内脂肪が増えるメカニズムが判明

(2015年9月) "Endocrinology" 誌に掲載されたノースカロライナ大学の研究により、ロシグリタゾン(商品名: アバンディア)という糖尿病治療薬により骨髄内脂肪が増えるメカニズムが明らかになりました。 出典: Diabetes Drug Boosts Bone Fat and Fracture Risk; Exercise Can Partially Offset the Effect

骨髄内脂肪は骨の内部に存在する脂肪で、糖尿病によりこの脂肪の量が増えて骨折のリスクが増加することが知られています。 ノースカロライナ大学の研究チームは 2014年に発表した研究で、ロシグリタゾンの服用によっても骨髄内脂肪が増えること、そしてそれを運動により減らせることをマウス実験で明らかにしています。

研究の内容

今回の研究によると、ロシグリタゾンはペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)と呼ばれる重要な転写因子を増強することによって骨髄内脂肪に影響します。

ロシグリタゾンは血中からブドウ糖を取り出すことで血糖値を下げますが、取り出されたブドウ糖は脂肪として脂肪滴に詰め込まれます。 この脂肪の一部が腹部脂肪などとして組織に蓄えられることが他の研究で示されていますが、今回の研究ではこの脂肪が骨髄内脂肪としても蓄えられることが明らかになりました。

さらに(2014年の実験でやったことかもしれませんが)マウスに運動(*)をさせたところ骨髄内脂肪が10%ほど減りました。 ロシグリタゾンを投与せずに高脂肪のエサを与えて骨髄脂肪を増やしたマウスでも、運動をさせることによって骨髄内脂肪が10%ほど減りました。
(*) 回し車。 マウスは走るのが大好きで夜間には数マイルも走る。
ヒトでも運動によって骨髄内脂肪がマウスと同様に減るとも限りませんが、研究者は骨髄内脂肪が増えるリスクのある患者に運動(長距離のウォーキングなど)を推奨しています。
コメント
研究者は次のように述べています:
「ロシグリタゾンは2型糖尿病の第一選択薬でも第二選択薬でもありません(*)が、一部の患者はロシグリタゾンを服用していますし、開発中の薬(†)の中にはロシグリタゾンと同じ細胞経路(‡)をターゲットとするものも存在します」

(*) 心臓への副作用のため。

(†) 線維芽細胞増殖因子2作用薬と呼ばれる薬。 米国食品医薬局(FDA)による承認が近いかもしれない。

(‡) PPAR経路。