ペットの爬虫類で乳幼児がサルモネラ菌に感染するリスクが増加

英国の研究

(2014年12月) "Archives of Disease in Childhood" に掲載された Royal Cornwall Hospital(英国)の研究によると、亀や、ヘビ、カメレオン、イグアナ、ヤモリなどの爬虫類を飼っている家庭では乳幼児がサルモネラ菌に感染するリスクが増加します。

英国コーンウォール州で3ヶ月間のうちに発生した5才未満のサルモネラ菌感染症175件のうち、27%が爬虫類を飼っている家庭で発生していたのです。

爬虫類に起因するサルモネラ症(Reptile-Associated Salmonellosis "RAS")に最も罹りやすい平均年齢は生後6ヶ月でした。

米国でも

(2015年12月) "Pediatrics" 誌に掲載された米国疾病対策センター(CDC)のレポートでは、米国におけるカメに起因するサルモネラ症発生状況が報告されています。

このレポートによると、2011~2013年の間に41の州にまたがって473件のサルモネラ症がペットのカメに起因して発生しています。

カメによりサルモネラ症を発症した子供の年齢は中央値で4才で、473件のうち1/4超で入院が必要となりました。 感染者のうちカメと直接接触した子供は少なく、大部分がカメの体が触れた表面(水槽など)を介して間接的にカメと接触することでサルモネラ症に感染していました。

米国では現在ペットとしてカメを飼育することは禁止されていますが、教育・展示・研究を目的としてカメが飼育されたりカメが違法に販売されることもあって、カメと接触する機会は未だ存在します。

ペットしてのカメの飼育が禁止される以前は毎年28万人がカメによりサルモネラ症になっており、それに比べれば3年間で473件という数字は大きな減少ですが、研究者によると報告されたサルモネラ症は氷山の一角に過ぎず、報告された1件につき報告されない16件が存在すると推定されます。 この数字を今回のレポートに当てはめると、報告されないケースも含めて 7,500件のサルモネラ症がカメに起因して 2011~2013年のうちに発生したと推定されます。

2004年の研究でも、米国の21才未満におけるサルモネラ症の21%が爬虫類に起因していることが示されています。

サルモネラ菌に感染すると

CDCによると、サルモネラ菌に感染すると12~72時間のうちに下痢・発熱・腹痛・などの症状が生じます。 症状の持続期間は通例4~7日間で、大部分のケースでは特別な治療をしなくても回復しますが入院が必要となることもあります。

サルモネラ菌と爬虫類

サルモネラ菌はヒトには害を引き起こしますが、爬虫類(両生類も)の腸にはサルモネラ菌が体に害を及ぼさない常在菌として生息しているのが普通です。 そして、体内にサルモネラ菌を抱えている爬虫類の糞にはサルモネラ菌が含まれています。

サルモネラ菌は爬虫類を購入あるいは捕獲した時点で体内に存在するか、他の個体から感染するか、あるいはエサ(冷凍のネズミなど。サルモネラ菌は熱には弱いが低温には強い)から感染します。

爬虫類のペットを室内で放し飼いにしていると爬虫類の糞が室内に散らばるので、糞に含まれるサルモネラ菌によって、特にハイハイをしたり床を舐めたりするなど床との接触度が高い乳幼児でRASのリスクが増加します。

RASの対策
CDCによるRAS対策(両生類も含む)は次のようなものです:
  • すべての爬虫類(や両生類)はサルモネラ菌に汚染されていると考えること。
  • 免疫力が未発達の子供や免疫力が衰えている高齢者は、サルモネラ菌汚染の恐れがあるものに接触してはならない。 5才未満の子供や高齢者向けの施設で爬虫類を飼育するのはもってのほか。
  • 免疫力が十分な健康な人でも、サルモネラ菌汚染の恐れがあるものに接触した後には十分な対処を行う必要がある。 対処方法は手洗い・洗濯・掃除・消毒など。 特に、汚染されたままの手で飲食したり、口を触ってはならない。
  • 「サルモネラ菌汚染の恐れがあるもの」とは次の2つを指す:

    1. サルモネラ菌汚染物
      爬虫類と接触した部分(手や衣服)、および爬虫類が接触したものすべて(飼育容器や爬虫類が歩き回った床など)
    2. サルモネラ菌汚染物に触れた物
      例えば、飼育水を処分した流し台や、飼育用具を扱った手、あるいは爬虫類に触れた手で触れた物などがこれにあたる。 「サルモネラ菌汚染物に触れた物に触れた物...(以下エンドレス)」も「サルモネラ菌汚染物に触れた物」とみなされる。