今のままでいい。 一部の人を除いて塩分摂取量は現状で適切

(2016年5月) マックマスター大学(カナダ)などが行い "The Lancet" 誌に掲載された大規模な研究によると、健康な人の塩分摂取量は現状で適切であり、これ以上減らす必要はありません。 それどころか、塩分制限により心血管疾患(心臓病や脳卒中)のリスクが増加する恐れさえあります。出典: Low Salt Diets Not Beneficial: Global Study Finds

今回の研究によると、ナトリウム摂取量の多さを心配する必要があるのは高血圧患者のうち塩分摂取量が多い人だけです。

これまでの研究にも、ナトリウム摂取量が少ないと血圧は下がるものの摂取量が平均的な水準にある場合よりも心血管疾患や脂肪のリスクが高くなることが示したものがあります。

研究の方法

世界49ヶ国から集められた13万人分超のデータを用いて、ナトリウム(塩分)摂取量と死亡リスクおよび心血管疾患リスクとの関係が高血圧患者と健常者で異なるかどうかを調べました。

結果

高血圧であるか否かに関わらず、ナトリウム摂取量が普通の場合よりも少ない(3g未満/日)場合のほうが心臓発作・脳卒中・死亡のリスクが高くなっていました。

また、ナトリウムの過剰摂取(6g超/日)により悪影響が生じるのは、高血圧を抱えている人だけであるように見受けられました。

ナトリウム摂取量の現状

カナダの場合、ナトリウムの平均摂取量は1日あたり3.5g~4gですが、一部のガイドラインではナトリウム摂取量の目標値を2.3g/日としています。 カナダでも世界全体でも、ナトリウム摂取量が2.3gである人の割合は5%未満です。

日本の場合

「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、日本の塩分摂取量の目標値が成人の男性で8g/日、女性で7g/日とされています。

塩分摂取量とナトリウム摂取量は別物なので、今回のニュースに登場した2.3gあるいは3gというナトリウム摂取量目標値と比較するには塩分摂取量をナトリウム摂取量に換算する必要があります。

塩分摂取量をナトリウム摂取量に換算するには「塩分摂取量÷2.54」という計算をするので、8g/日と7g/日を2.54で割ります。 そうすると、日本のナトリウム摂取量目標値は3.15g(成人男性)と2.75g(成人女性)ということになります。

コメント
研究者は次のように述べています:

「今回の結果から、大部分の人たちの塩分摂取量は現在の水準で適正であると思われます。 各国の現在の食事ガイドラインは概して、1日あたりの塩分摂取量の上限を低すぎる値に設定しているようです。 血圧の違いによって目標値を変えるということもしていません」

「万人に対して塩分摂取量を減らすことを求めるよりも、高血圧でありなおかつ塩分摂取量が多い人だけに塩分摂取量を減らすことを求めるのが良いでしょう。 中央アジアや中国など塩分摂取量の水準が非常に高い水準にある国ではこの限りではありませんが」

「今回のデータでは、高血圧で塩分摂取量が多い人は摂取量を減らすと良いということになりましたが、(そういう人が塩分摂取量を減らすときに)塩分摂取量を平均的な水準以下にまで減らすのが良いということまでは示されていません」

「ナトリウム摂取量を水準以下にまで減らすと、摂取量が平均的な場合に比べて血圧はそこそこ下がるものの、一部のホルモンの量が増加するなど好ましくない作用も生じます」

「塩分摂取量を減らして血圧さえ下がれば良いというものではありません。 大事なのは、塩分摂取量を減らし血圧が下がることによって健康状態が改善されるかどうかです」